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こんにちは、スポーツお伝えします。きのう行われた全日本トライアスロン宮古島大会。総距離202.195キロという過酷なこのレースに今回特別な思いを持って挑む男性の姿がありました。

体力自慢のアスリートたちが挑む全日本トライアスロン宮古島大会。ゴールまでの道のりはスイム3キロ、バイク157キロ、ラン42.195キロのあわせて202.195キロ。その過酷さゆえに、完走した選手は「ストロングマン」と称されます。

この大会で過去11度の完走を果たしている加持岳志(かもち・たけし)さん。今大会には例年とは違った思いで挑んでいました。

神奈川県出身で、16年前に宮古島に移住した加持岳志さん。移住してから出場し始めた宮古島トライアスロンでこれまで11回、完走を果たしていますがことしはこれまでと違う特別な思いがありました。

加持さんの父・郁也(いくや)さん。去年4月、病気のため亡くなりました。葬儀は去年の宮古島トライアスロンの前日だったため加持さんは出場を断念。ただ、その葬儀の場であることを知りました。

Qプラススポーツ部 全日本トライアスロン宮古島大会

加持岳志さん「亡くなった後に実は岳志がトライアスロンをやっていたことはすごい友達への自慢だったみたいだよと、そういう話を聞くことになってですね。実際に余命宣告を受けた時には、岳志には言うなと。そろそろ大会もあるんだから余計な心配をさせちゃいけないからみたいなことを言っていたみたいで」

亡くなってから知った父の思い。「天国でも父に自慢してもらえるように」。それが今回の出場理由です。

加持岳志さん「(Q天国で見ていると思いますか?)どうでしょうね(空を見上げる)そう信じて、それを力にして。たくさんの人に応援してくれている姿を見てもらいたいですね。本当にこちらに来て仲間とか友達、応援してくれる人がすごいたくさん増えたのでそういうのを見てほしいですね」

大会当日、完走を誓いスタートを切った1,572人のアスリート。1種目目は今年から周回コースへと変更されたスイム。

Qプラススポーツ部 全日本トライアスロン宮古島大会

加持岳志さん「あと1周行ってきます!」

順調にスイムをこなしていった加持さん。島を1周半するバイクへ。沿道には妻の旬見(まさみ)さん義理の伯父にあたるトシオさんらの姿がありました。

妻・旬見さん「前のタイムも見ながら何時ぐらいにどこというのを見ながら応援しているんですけど、今のところ順調かなと思います」

しかしその後、ペースが落ち始めます。2年ぶりの出場になったことに加え実は大会前、1週間ほど体調を崩していたこともあり、万全ではありませんでした。

そんな加持さんを沿道で待っていたのは加持さんが介護福祉士として働くデイサービスの利用者たち。

Qプラススポーツ部 全日本トライアスロン宮古島大会

デイサービス利用者「親しみがあって、思いやりがあってすごい良い人なのみんなから信頼されて」

加持さんは、タイムが遅くなっている中でも立ち止まってその応援に応えます。

応援を背にバイクフィニッシュまでたどり着いた加持さん。しかし過去12回で最も遅いタイムとなり、やや不安を抱えながら最後のランをスタートします。

加持岳志さん「(バイクで)足がずいぶんつったんですけどでも今動いているので、走れるかな…」

そんな加持さんを始め、完走を目指すアスリートを支えるのがボランティアの人びと。その数は事務局で把握しているだけで約5000人ですが自主的にやっている人も多いということ。

各地に設置されているエイドステーションの準備はまだ夜も明けぬ午前4時半から始まり、地元の高校生なども参加しています。

宮古高校生徒「ちょっと眠いですけど、トライアスロンの方は頑張っているんで力になれたらなと思います」

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また大会前日、手作りで花の冠を作っていたのは島の保育士たち。

現在、この冠は大会の上位100人に渡されるものですが以前は完走者の数に合わせ1000個作っていた時期もあったそうです。

島の人びとの支え、応援を受け完走を目指す選手たち。その中で加持さんは…、走る足が止まり、歩く時間が長くなっていました。そんな加持さんに、妻の旬見(まさみ)さんが父・郁也さんの写真を見せます。

加持岳志さん「発破をかけられているような感じかもしれませんね。色々と背負うものがあると力が湧いてくる気がしますね。なりふりは構っていられなかったのでとにかくゴールすること、これだけでした」

しかし、周りは徐々に暗くなりこれまでは日が沈む前にゴールしていた加持さんにとって試練の道のりとなっていました。

完全に日も沈み、月がのぞき始めたフィニッシュ地点。続々と感動のゴールを迎える中、刻々と迫る制限時間。残り30分を切った、その時。

Qプラススポーツ部 全日本トライアスロン宮古島大会

加持岳志さん「完走出来てよかった、帰ってこられて良かったです。自分はこの大会大好きなので、また来年以降も出続けられるなら出続けたいと思うのでまた引き続き(姿を)見てもらい続けたら、良いなと思います」

多くの支え、応援の中で、ことしも感動のフィナーレを迎えた宮古島トライアスロン。

今回も完走した加持さんの姿をきっとお父さんも天国で自慢しています。