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沖縄本島内に唯一残っている銭湯「ユーフルヤー」が沖縄市にあります。常連客がこの場所に、足しげく訪れるその理由は温かいお風呂だけではありませんでした。

Qプラスリポート 本島でたった一つの“ユーフルヤー”

沖縄市の住宅街にある銭湯「中乃湯」。のれんをくぐって扉を開けたその先には、沖縄独特の「ユーフルヤー文化」が残っていました。

Qプラスリポート 本島でたった一つの“ユーフルヤー”

まず最初に目に飛び込んで来るのは、浴室の真ん中にあるだ円形の浴槽。脱衣所と浴室には間仕切りや扉がなく、開放的なつくりになっています。浴室からいつでも見える脱衣所のロッカーに鍵はついていません。これが沖縄の昔ながらのユーフルヤーのスタイルです。

今、沖縄本島にあるユーフルヤーはここ中之湯だけ…。

常連客「(名護市から)週に2回かな。50年、もっと続けているかな、20歳ごろから」

中之湯のオープンは午後2時、一番風呂を狙って訪れる常連客も多くいます。

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常連客「最高!」「中之湯の水の質が良い」「1軒しかないっていうから沖縄に、なんか得したような気分さ」

県内唯一の銭湯「中乃湯」を営むのが仲村シゲさん、83歳。豪快に笑うその笑顔がチャームポイントです。シゲさんは店の前のベンチに座って客の出迎えをします。シゲさんのまわりにはいつも地元の人や客が集り、話に花が咲いています。

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シゲさん「おじさん、具合でも悪いの?(客:いや、ダイエットしてる。1日2食にしてる)太った方がかわいいのに(客:じゃあ、これから食べようね)」

シゲさん「お客さんもまた、いいお客さんばかり来ていただくし、それで、楽しくやっています」

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1960年創業の「中之湯」。夫婦で店を支え、夫が亡くなった後、30年以上にわたって、シゲさんがたった1人で切り盛りしてきました。

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シゲさん「もうそろそろ(お湯を)入れる時間だな」

減ったお湯を継ぎ足すため、ボイラーがある店の裏手に向かうシゲさん、

シゲさん「夏場はそんなにないけど、冬場はもう10分、20分くらいおきに。冬場は忙しい」

日中の暑さが収まり、冬を迎えるこの頃から訪れる人が増え、忙しい時期を迎えます。中之湯のお湯は、地下300メートルから湧き出る温泉を汲み上げた源泉かけ流しです。

常連客「傷に効きますよ、温泉だから。疲れもとれるし、ビール1本飲むよりは良いよ」

孤軍奮闘を続けるシゲさんの支えになっているものがあるといいます。

シゲさん「孫が感謝状をくれた。おばあちゃん一人で頑張ってるからって(笑)」

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1人で働き続けるシゲさんを労う言葉がつづられた孫からの手紙。これが元気の源です。

シゲさん「仕事が好きだから、このくらいなんでもないです」

県内の銭湯は、一般家庭に風呂が普及したことやお湯を沸かす燃料費の高騰で次々と店をたたみ、残っているのは中之湯だけ。それでも、シゲさんがユーフルヤーを続けるわけは、お客さんからの言葉です。

シゲさん「一時はどうしようかって、自分も辞めるかなって思ったけども。みなさん(から)、絶対辞めないでちょうだい、お願いだからって、言われると余計…。皆さんのことを思うと辞めることもできないし、続けようと頑張っている。これからもずっと頑張りたいけどね…」

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体も心もほっこり芯から温まる憩いの場、沖縄にここだけの「ユーフルヤー」がこれからもたくさんの人を癒し続けていきます。