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きょう、イギリスの学術専門誌、英国王立協会紀要に掲載された論文

「アリは口移しの際に共生者の情報を伝達する」

アリは口移しで情報を共有している!

アリが共生関係であるアブラムシをどのように見分けているのか、その謎を紐解くカギを、琉球大学と関西学院大学そして千葉大学で作る研究チームが突き止めました。

共生関係とは、アリがアブラムシから甘い蜜をもらう代わりに、アリはそのアブラムシを天敵から守るという、お互いの利益を与えあう関係のことです。

これまでの実験で、アリはアブラムシから蜜をもらうと、そのアブラムシの種類に対して、攻撃性が低くなることが分かっていました。

今回の実験では、アブラムシから蜜をもらったことのあるアリと、その経験がないアリを容器に入れ、一つは口移しをさせ、もう一方はさせずに観察しました。

アリは口移しで情報を共有している!

すると、口移しをさせなかったアリは口移しをしたアリに比べ、アブラムシに対する攻撃性が著しく増加したというのです。このことから、口移しをする時にアブラムシの情報を他の働きアリと共有していることが分かったのです。

この研究を行った研究メンバーの一人、琉球大学農学部の林正幸研究員。

特別に、実験で使用しているアリを見せていただきました。およそ6年、1000個体以上のアリを使って研究結果を導きました。

林正幸研究員「アリとアブラムシの共生関係がらみの研究を7,8年ぐらい前からずっとやっていて、その中で何かありそうだと、情報の伝播というのが起こっていそうだということを感じていまして、行動観察等から感じていまして、この研究に着手するに至りました」

アリは口移しで情報を共有している!

今回の実験では、アリが口移しでどのような情報を伝えているのか、具体的な内容まではわかっていないものの、今後、共生関係の仕組みを突き止めるための大きな一歩だと考えています。

林正幸研究員「アリのような小さな生物でも情報の伝達、私たち人では言語を使ってコミュニケーションを行いますけどそれとは別なんですけど、何かしらの情報の伝播というのを小さいアリでも、脳みその小さいアリでも行っているということが一つ面白さなのかなと考えています」