※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

おととし宮古島で旗揚げしたユニークな劇団があります。笑いで島を癒したいという劇団には、島の言葉を次の世代に伝え残したいという熱い思いもありました。

軽妙なやりとりで観客の笑いを誘っているのは、お笑い芸人?ではなく、宮古島の市民で結成された劇団。セリフはほぼ、宮古島の言葉です。

サトウキビ収穫の最盛期を迎える宮古島。農家は大忙しです。

そんな農家や、日頃がんばっている人たちを笑いで癒そうと、名乗りをあげたのが『劇団ぴん座』。団員は演技経験ゼロからスタートした人たちです。

つながる × 残したい言葉 喜劇に込められた役者の思い

座長の仲宗根さん。ずっと宮古島で劇団を作りたいと思い続けていて、おととし、周囲の友人たちに声をかけ、劇団ピン座を結成しました。今回が2回目の公演です。

劇団ピン座の最大の特徴は、宮古島の言葉で舞台をつくりあげることです。

座長公「宮古で方言とお笑いが欲しているのではないかなと思っていて。役者も宮古の人だし、役柄も宮古なので、やっぱり方言って欠かせないじゃないですか。子どもたちには、わかんなくて良いと思ってます。方言を聞いてわかんないんだけど、お父さんお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんに今なんて言ったの?とか」

いよいよ、公演の日がやってきました。会場にもぞくぞくとお客さんが詰めかけます。舞台裏も準備に追われています。

アルバラート京子さん「緊張してます。でも、やるしかない」

中にはこれが初舞台の団員も。

つながる × 残したい言葉 喜劇に込められた役者の思い

砂川春美さん「初めてです。65歳になって初めて演劇をしました。みんな緊張してると言っているけど、私だけ緊張してないみたいで。鈍感かなと。ははは」

仲宗根さん「セリフが止まっても、飛んでもいいから、話を前に進めてください。周りもカバーしあいながら。失敗を恐れずに楽しみましょう」

つながる × 残したい言葉 喜劇に込められた役者の思い

舞台は宮古島のお盆、ストゥガツの送り日の日。主人公・平良徳良の家に突然、亡くなった両親の霊があの世から戻ってくるドタバタ劇です。

「徳~」「母ちゃん!!」「元気にしてた?」「あの人、父ちゃん?」「そうだよ、あの世での生活が長いから、話す言葉も変わってしまったんだよ。私も驚いたよ」

感動の再会となるはずが、お供え物を巡り、嫁と姑との確執が勃発します。

「これはなに?」「だから。ケンタッキーフライドチキン」「それは知ってる。でも今日はお盆だよ。お供えものといったら三枚肉、こんぶ、豚の角煮…」「私はお母さんのことを思って…」

つながる × 残したい言葉 喜劇に込められた役者の思い

他にも、ウチカビが盗まれたり、旧日本兵の霊が現れたりと、平良家は大騒動に…。

「だいたいお母さんが悪いさいが」「なんで私のせいか」「死ぬからさ!そんなにうちに任しておけんかったら、もっと長く生きたら良かったさ。もっとお母さんにいろんなこと習いたいこと、たくさんあったのに…」「すまんど~けいこ…」

最後は家族の絆を取り戻して、ハッピーエンドで幕が降ります。

笑って、泣いて、あっという間の1時間。観客からは大きな拍手が送られました。

観客「おじいちゃん、おばあちゃんに聞いて、方言覚えました。それで今日みんな聞けてとても楽しかったです」「おもしろかったよ」「あの亡霊が」「方言はわからないんですけど、結構楽しんでみてくれたので良かったです」

団員・砂川さん「こんなに最後までできると思わなかったので、とっても嬉しかったです」

団員・下地さん「終わりました。泣き虫なのよ、わたし」

つながる × 残したい言葉 喜劇に込められた役者の思い

仲宗根さん「もうほっとしてます。正直。「やるだけのことをやったので満足してます。今回よりもまた面白いものをっていうのを目指してますけど。大変ですね。もうやるしかないですよね」

出演者、裏方、脚本、すべて宮古島の人の手で作られたお笑い劇。言葉で、笑いで、観客の心をしっかりと掴みました。