2016年11月30日 18時50分

Q+リポート 石西礁湖 大規模白化の海に潜る

石垣島の海では、ことしの夏、大規模なサンゴの白化現象が確認されました。今、海の中でどんな異変が起きているのか。その後の海に潜りました。

Q+リポート 石西礁湖 大規模白化の海に潜る

海底一面、真っ白になったサンゴ。ことし8月の石垣島の海です。その後の、環境省の調査で、97%、ほぼ全てが、白化したことが分かりました。さらに深刻なのは、その白化したサンゴの実に56.7%が死滅したというのです。

サンゴは、光合成する「褐虫藻」と呼ばれる植物プランクトンと共生していて、栄養などを貰っています。白化は、この茶褐色の「褐虫藻」が、海水温の高い状態が続くことなどで失われ、サンゴの骨格が透けて白く見える現象です。この状態が、数週間から1カ月ほど続くとサンゴが死滅すると言われています。

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こちらは環境省の水温データです。6月下旬以降、白化すると言われる30度を超え続けているのが分かります。また、日本に近づいた台風は、9月に入るまで、いずれもこの海域に近づくことはありませんでした。沖縄気象台のデータでも、この海域の異常な海水温が記録されていました。

沖縄気象台 林和彦海洋情報調整官「6月と7月は1位、過去35年。8月は、2位と言うことで、35年の観測データあるが、その中で、歴代1位と言うような高温が続いていた」

私たちは、環境省の調査に同行し、今月19日、再び石垣島の海に潜りました。辺り一面に広がるサンゴ。一見、生きたサンゴのようにも見えますが、ほぼすべてが死んでいます。死んでからかなりの時間が経ち、表面が完全に藻に覆われて、真っ黒になっていました。サンゴの死滅です。そこを住処としていた魚たちは気づいていません。こうした魚たちも、次第に姿を消すことがわかっています。

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こちらは、およそ10年前に白化などで死滅したサンゴ。骨格だけになったサンゴは、海底に崩れ落ちて、生き物の住処としての役割を果たせなくなります。

また、今回、最も象徴的だったこちらのサンゴ。10年前の白化で死んだサンゴの上で、新たに育っていたサンゴが、再び死滅していたのです。

石西礁湖の調査に携わる上野光弘さん「生きているものが、死んでいるから、深刻さはけた外れと思うし、2007年の白化現象以前の状態まで戻る、回復、サンゴの被度が回復していたが、それがまたゼロみたいになってしまったというのが特徴ですかね」

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これは、石西礁湖の海底をどれだけ生きたサンゴが占めているかを、縦軸で示したグラフです。環境省が毎年、125地点を調べた結果です。これをを見ると、1998年と2007年に大規模な白化現象が起きたことで、サンゴが大きく減っていることが分かります。

大規模な白化は、9年に1度、海水温上昇のサイクルとともに起きていました。さらに、2007年以前には、一度回復しかけたものが、その後は、思うように回復しきれていないことも明らかとなっています。

上野さん「これぐらい沢山のものが死んでしまうような現象が、もっと短い頻度で起きるとしたら、とてもじゃないが、それ以前のサンゴの被度のような状態までは回復(しない)、回復するまでにまた死んでいくので、今生き残っているものも、浚渫で濁りがまん延すると、弱った状態が長引いたりして、それが病気にかかりやすくなったりして、死んでいくと思います」

環境の変化に、警鐘を鳴らす一方で、今回の取材では、希望の持てるような海域もありました。

野島記者「こちらのポイントは、過去の大規模な白化現象でも比較的影響の小さかった場所です。海の中はどうなっているのでしょうか」

水深およそ6メートル。ことし私たちが、8月から何度も潜ってきた小浜島の南の海域です。こちらはハマサンゴという比較的白化しにくいとされるサンゴです。2カ月前は、真っ白だったサンゴが、今回、再び、健康な色に戻りつつあるのが確認されました。

Q+リポート 石西礁湖 大規模白化の海に潜る

さらにこちらは、巨大なテーブルサンゴ。2カ月前には、色が薄くなり白化しかけていましたが、こちらも健康な色に回復してきていました。小さなサンゴたちも生き残っていました。

野島記者「結構、意外と残ってる。意外と残ってますね。もっとひどくなってると思ったから、いいことなんですけどね」

自然環境研究センター 木村匡上席研究員「60%ぐらい今の調査の結果で死んでいるということは、あと40%は、生きているんですね。そういうところがソースになって、これから少しずつ幼生を供給して、その幼生が着いて、だんだんと育っていって回復する、そういうプロセスに入る。残りの40%に期待が出来る」

サンゴ礁の回復。そのためには、まずストレスをかけないことが重要だと専門家は指摘します。赤土の流出や、浚渫工事による海の濁りを制限する。温暖化を防ぐために、世界規模で取り組む。そうしたことを一つ一つクリアすることが、いま、私たちに求められています。

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