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石垣市で、島で栽培された藍で染め上げる藍染めの商品が人気を呼んでいます。石垣の自然素材だけで染め上げられ作られる、その現場を取材しました。

石垣市、石垣。風が駆け抜ける、丘の上に広がるおよそ1400坪の畑に植えられているのは、2000本のナンバンコマツナギ。

14年前から、ここで藍染めを作る、島藍農園代表、大濱豪さん。

Q+リポート 「島で生まれる藍」島藍農園

大濱豪さん「マメ科の植物で、草じゃなくて、木なんですね、幹がちゃんとあって、なので別名木藍とも呼ばれているんですけども、昔から八重山諸島ではこれが藍染めの原料としてずっと使われ続けています」

藍染めの原料となるインディゴの色素は、この葉っぱから抽出されます。ナンバンコマツナギの葉の収穫は夏場がピークでこの時期には、小さなピンク色の花が、畑に一年に一度の彩りを添えています。

収穫された葉は、こちらの小屋で処理され、色素だけが抽出されます。

Q+リポート 「島で生まれる藍」島藍農園

大濱豪さん「沈殿藍と言います」

泥状の藍の色素。

大濱豪さん「ペースト状になってまして、深い藍色の色素ですね」

この沈殿藍に、米ぬかなどを加え発酵させると、ようやく、藍染めの染料が出来上がります。

Q+リポート 「島で生まれる藍」島藍農園

大濱豪さん「こちらが発酵状態にある藍の染料です」

常に発酵を続ける染料は、生き物と同じ。気温や湿度を計算しながら、染料として常に最高の状態を保ちます。

染めの作業。染料が均等に浸透するよう、布をほぐしていきます。

大濱豪さん「つける時間と回数で、青の色の深さというのが変わってくる」

発酵した藍の染料は、茶色く濁っています。

大濱豪さん 「ただ、液につけて布をちょっとずつ出していくと、空気に触れることによって、だんだん青くなってくるのがお分かりだと思います。」

染料から引き上げると、布は一瞬、緑がかって見えます。そして、空気に触れることにより、藍色に変わっていきます。大濱さんは、こうした技術を、かつて藍染めを行なっていた島のお年寄りに聞いたり、試行錯誤を繰り返しながら、確立しました。

Q+リポート 「島で生まれる藍」島藍農園

染めを終えた布は、水で洗われ、より鮮明な青を放ちます。

大濱豪さん「染め上げてここに干して、青空と自然と一体化する、この布っていうのは、すごく、この瞬間が好きですね」

市内にある島藍農園のショップ。店内には、独特の3色のデザインによる、バッグやアクセサリーが展示されています。

大濱豪さん「基本ブルーの方は空と、深い青の海、橙色の太陽」

青はいずれも藍染めによるもの。橙色は島のフクギの皮で染められています。100パーセント、石垣島の色です。小学校卒業後に島を出た大濱さんは26歳の時に島に戻ってきました。島の素材にこだわったものづくりがしたいと、藍染を始めました。

大濱豪さん「この畑から生まれたこの色が布に染まりついてくれる、綺麗な色が自分の手で染め上げられる、というところに尽きるんですけども」それをまた第三者、お客様とかいろんな方がみて、いいねと言って、求めていただいて、使っていただける、ていうようないろんな人たちがこの10数年やってくる中で支えてくださっている、というのは一番大きいですね」

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特に5年前にデザインを一新してから、島藍農園の製品は、県内外で注目を浴びています。最近では、伝統的な八重山のミンサー織の技術を使った、手織りの製品も展開しています。

大濱豪さん「藍染の世界はすごく深いと言われていて、一生かかっても分からない部分もたくさんあるんじゃないかと思うと。この藍染めを一生やり続ける、この畑で藍を育て続けられるようになりたい」

来年の2月には、ドイツで開催される見本市に出店することも決まりました。本格的な海外への展開は初めてです。

Q+リポート 「島で生まれる藍」島藍農園

大濱豪さん「自分の手によって作られたもの、色、っていうものを柱にして、沖縄、石垣島というものをより知っていただきたい」

島の素材で、島の色を表現した作品が、多くの人を魅了しています。

農業などの一次産業をいろんな製品やサービスに広げていくことをよく「六次産業化」と言われますが、県内では加工食品など、食品の分野では多いんですが、こうした食品以外の分野での六次産業化の例は珍しいらしいです。

農業と、製造業、そして、芸術を合わせていますよね。

色で島を表現した作品、本当に素敵でした。