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シリーズ「つながる」です。沖縄を代表する工芸壺屋焼の伝統を継承しながら、新たな可能性に挑戦する、老舗窯元の姿を追いました。

つながる × 受け継ぐ伝統

昔ながらの街並みや登り窯が残るやちむんの町・那覇市壺屋。この地に根をはり、伝統を大切にしながらも、革新的なやちむんに挑戦する老舗があります。壺屋で6代続く窯元「育陶園」です。

伝統的な唐草線彫の器や現代の名工である先代から、技法を受け継いだシーサーなどが並ぶ本店のほか、「楽しい朝」をテーマに、20代の女性をターゲットにした、かわいいらしいやちむんが並ぶ「guma guwa」、「時を味わう」をテーマに、30代から40代の男性をターゲットにしたモダンなテイストのやちむんが並ぶ「kamany」、3つのブランドショップを展開しています。

そのきっかけとは。

つながる × 受け継ぐ伝統

高江洲若菜さん「かわいいやちむんとか、自分たち世代が使いたいやちむんをつくりたいと思ったのが最初で、若い職人さんたちがいて彼らの表現の場になればいいなというのと、たくさんの技法がある壺屋焼をどうやったら見やすく表現できるかなと考えたら(ブランドを)分けるっていうことでしたね。」

若い感性が光るやちむんですが、ちゃんと壺屋の伝統がベースにあります。

つながる × 受け継ぐ伝統

例えば、こちらのコーヒーカップ。デザインは斬新ですが、壺屋の伝統的な「線彫」という技法が駆使されています。

また、こちらの柄は、縁起の良い文様とされる「菊文」をモチーフにしています。

コンセプトもターゲットも異なる3つのお店ですが、共通して大切にしていることがあります。それは、「暮らしに寄り添い、時代に合わせたやちむんをつくっていく」ということ。

高江洲さん「自分たちが残るためにもその時代に時代に必要とされるものを、ちゃんと見極めて作っていくっていうのが大切なのかなと思っていますし、壺屋焼自体がそうやって300年以上も続いてきたんだなという風に、過去(歴史)を振り返っても思いますね。」

330年以上続く壺屋焼の歴史。それは苦難の歴史でもありました。

戦前は、本土で大量生産された磁器によって追い込まれ、沖縄戦では県民の生活そのものが破壊されました。しかし「戦後の復興は壺屋から」と言われるように、占領したアメリカ軍は、壺屋の職人を集め、戦後の県民生活に必要となる皿などを作らせました。

戦後復興に尽力した職人らはまた、アメリカ人向けの陶器をつくるなど、時代の逆境にも柔軟に対応し、その時々の暮らしに合ったやちむんを作り続けることで、壺屋焼の伝統を繋いできました。

つながる × 受け継ぐ伝統

新しいデザインは、若手のスタッフを中心に、もっと使いやすく、どんなデザインがあったら面白いか、時には、売り上げなどを分析しながら、意見をぶつけあい生み出していきます。

高江洲さん「作家ものとは違うので何名かの職人で仕上げるために仕上げやすいようなデザインあとは使う人がこれを使ったら楽しいなと思えるようなデザインこの2つのバランスを心掛けてやっています!

つながる × 受け継ぐ伝統

育陶園七代目・高江洲尚平さん「もちろん仕事にストイックに真面目にっていうのはもちろんなんですけど、自分たちが楽しいと思えるような意識しながらやってるかなって思います。」

こうして生まれたデザインは、海外でも注目を浴びています。去年、イタリアのミラノで開催された世界的デザインの祭典、「ミラノサローネ」で、現代の暮らしのなかに取り入れやすいモダンな工芸品100品目に選出されたのです。

つながる × 受け継ぐ伝統

高江洲さん「どんどん沖縄の景色って変わっていく中で、この壺屋のなかでやきものを作り続けてるっていうのは、そういう景色を残していくことにつながっていくのかなという風に思っていて、壺屋焼、壺屋をキーワードに壺屋がもっと面白くなるようなことをしていきたいなと思っています。」