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シリーズ「つながる」、私たちの日々の暮らしの中でおきる様々な課題や問題について掘り下げて考えます。親からの虐待などで安心して生活できる居場所を失った子どもたちを緊急的に避難させ保護する施設「子どもシェルター」が先月開所しました。どんな目的で開所至ったのか弁護士の思いを取材しました。

つながる × 子どもシェルター

NPO法人子どもシェルターおきなわ・横江 崇理事長「いよいよ開所しました。なんとか4月中に、ギリギリ4月中に当初の予定通りに間に合ったという感じで」

沖縄弁護士会の弁護士らが中心となって設立したのは「NPO法人子どもシェルターおきなわ」。この日は、開所して初めての話し合いが行われていました。

『英語とか語学でもボランティアの方でできるという方がいたらちょうどいいな』『ボランティアの方たちの関わり。ボランティアの研修講座もすぐにじゃないにしても広げていきたいなと思う』

つながる × 子どもシェルター

子どもシェルターとは親の虐待から逃れるため家を出た子や少年院を出ても帰る場所のない子、家にいるのが嫌で夜の街をさまよう子など、居場所をなくした子どもたちを一時保護する施設です。

特に、児童相談所などでは保護しにくい10代後半の子どもたちを対象に支援しようというものです。

美ら島法律事務所・横江 崇弁護士「どうしても年齢の低い子どもたちを優先せざるをえないので、年齢が高めの子どもたちっていうのは後回しになってしまう。年齢の高めの子どもたちにきちんと集中的に個別的なケアをしてあげたいという思いででシェルターを作ろうと思いました」

つながる × 子どもシェルター

子どもシェルター沖縄では、逃げ場が少なく性被害を受ける恐れがある女子を対象にしていて、常駐するスタッフのほか、医療や福祉、心理の専門家などが連携して支援に当たります。

県教育庁島尻教育事務所スクールソーシャルワーカー・黒澤瑶子さん「県の枠組みで小中学生のスクールソーシャルワーカーという仕事。小学生、中学生と関わっておりまして、その中でその枠組みではみてあげられない若者が一定数いるというのを見かける。スクールソーシャルワーカーとしても、子どもシェルターボランティアとしても、関係機関とのつなぎという意味でお手伝いさせていただきたいと思っています」

現在入所しているのは、親からの虐待を受けた10代後半の少女など数人。身の安全を第一に考え、所在地などは明らかにされていません。

つながる × 子どもシェルター

子どもシェルターへの入所は、子ども本人や発見した人が子どもシェルターに連絡を入れ、その子どもを直接面談してから児童相談所の委託先として一時保護されるのです。

横江弁護士「普通の一戸建ての建物を借りておりまして、家庭的な雰囲気でスタッフやボランティアの方と信頼できる大人たちと一緒に安心して生活をしていこうという建物になっています。一人ひとりきちんと個室がありますので、自分のプライベートな空間な時間を持ってもらいたいそういった場所を作っています」

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子どもシェルターとはどんな場所なのか。3月に開催されたシンポジウムではかつて東京の子どもシェルターを利用した女性が登壇、当時の様子を語りました。

シェルターを利用した女性「(Q:シェルターにいた数か月の短い期間なんだけども、その機関にあなたがシェルターで獲得したもの、大切なことといったらどういうことになるんでしょうか?)会話ができる大人たちがいるということを知りました。朝昼晩の手作りのごはんを作ってもらって、大人の人に。一緒にテーブルを囲んで、たわいのないことを会話しながら食事するっていうのが初めての経験だったので、とても驚きました」

言葉の暴力を受けて育った女性は、過去を振り返り、子どもの目線に立ったシェルターのあり方を訴えていました。

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全国14カ所目となる「子どもシェルター沖縄」。ボランティアと弁護士が24時間体制で子ども達のケアを行ないます。

黒澤さん「第一に関わる相手のお子さんが私を見たときに安心できる大人と感じてもらえるような、そういう努力をしていきたいと思います」

「居場所」を必要としている子どもたちをつないでいきたい。弁護士たちの思いで設立した「子どもシェルター」。資金や退所後の子ども達のケアなどまだまだ課題も多く、長期的な支援が求められています。

横江弁護士「我々もシェルターだけで完結するわけではなくて、シェルターの後、次の場所を自分たちで別のものを継続的な長期的なものをつくっていかないといけないと思っています」

一時保護ということは退所期限があるということですか?今の段階では2か月程度ということですが、虐待の家庭状況が2カ月で改善されるのかという問題もあり、今後は必要期間を保護していけるように考えているということです。

また、児童相談所とは違い、助成金で全てを賄えるわけではなく、今回開所するにあたっても多くの電化製品や日用品の寄付を募りました。長期的な支援が必要をされる子どもシェルター、今後も協力を呼びかけています。

子どもシェルターおきなわ 問い合わせ先:098-853-3871