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ことし9月、世界チャンピオンを目指すことを宣言した那覇市出身のプロボクサー、翁長吾央選手。きのう、その世界戦に向けての前哨戦が行われました。翁長選手が35歳にして世界の頂点を目指すのには、ベルトに対する「ある人への思い」がありました。

Q+スポーツ部 世界目指す翁長選手の「ある思い」

己の拳一つにすべてを込める、プロボクシング。きのう、豊見城で行われた大会では、県勢選手らが多数活躍。浦添市出身、倒し屋の異名を持つ小谷将寿(こたに・まさとし)の1ラウンドKO勝ちなど、会場のボルテージも高まります。

そんな盛り上がりをよそに、ひとり、静かに勝負の時を待っていたのが翁長吾央。

翁長吾央選手「しっかり調整できているので大丈夫です(笑顔)」

ことし9月、翁長は35歳という、プロボクサーとしては引退も考えられる年齢で、世界チャンピオンへの挑戦を宣言。

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翁長吾央選手(記者会見)「諦めたくないという気持ちがすごくあった。精神的にも、肉体的にも、技術も、もっともっと向上して、世界チャンピオンになります。」

この挑戦の試金石とも言えるきのうの前哨戦へ向け、先週木曜、翁長はジムで汗を流していました。

翁長吾央選手「負けたら終わりだと思っているので。年齢は全く考えていないですけど。(Q.自分のプロボクサーとして?)そうですね。」

覚悟を決めての世界への挑戦。元世界チャンピオン・平仲信明さんも、その姿勢に目を見張ります

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平仲信明さん「世界を目指したいと、彼の方から世界という言葉が出たので、世界というのはそんなに簡単なものではないよと言ったけど、本人がそれはわかると。本人は35歳ですから、どうかなぁと思ったけど、頑張ってて。」

元世界チャンピオンを唸らせる覚悟。そこには、ベルトにかける「ある思い」がありました。

翁長吾央選手「沖縄尚学の金城眞吉監督と出会って、ボクシングの手ほどきを受けて、金城監督の奥さんのサポートもあって、今こうやってやっているんですけど、4年前に金城監督の奥様が亡くなられたんですよ。その時日本タイトルマッチを負けた後で、すごく悔しかったですね。金城監督の奥さんにベルトを見せることが出来なかったので。」

沖縄尚学時代、高校3冠を達成した翁長。そこには具志堅用高さんも指導した金城眞吉監督の熱い指導と、監督の妻で寮母さんでもあった清子さんの支えがありました。

翁長吾央選手「あんなに他人の子どもに愛情をそそげるのかなっていう、すごいなと思って、監督も奥さんも。」

翁長吾央選手「(ベルトを)金城監督にも見せたいし、金城監督の奥様にも見せたいし、そのためには11月15日勝たないことには先がないので、まずは11月15日勝つことですね。」

恩返しのためのベルトを目指す挑戦。きのうの世界前哨戦、金城監督も応援に駆け付けていました。そして鞄の中には、清子さんの写真も。

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金城眞吉監督「彼にあまりプレッシャーにならないように、そっと連れてきたんですよこれ(清子さんの写真)も。彼なりに頑張ってくれるのを期待しています。楽しみです。」

恩師も見守る中、翁長吾央の挑戦が始まりました。相手はスーパーフライ級のフィリピン王者、ジョナス・スルタン。序盤は時に打ち合いをしながらも様子を見合う展開。翁長は間合いを見計らってパンチを繰り出すも、相手もそれに対応、決定打を生むことができず、苦しい時間が続きます。

迎えた最終10ラウンド。相手のパンチが翁長を捕え始めます。しかし、これで翁長の心に火がつきました。最後に猛ラッシュを見せた翁長、勝敗は判定へ。

「勝者、赤コーナー、翁長吾央」

豪快なKO勝ちとはならなかったものの、前哨戦を勝利でおさめた翁長。ベルトをめざし、高き世界への挑戦が始まりました。

翁長吾央選手「ボクシングの父親と母親は、金城監督と清子さんだと思っているので。奥さんが亡くなる前にベルトを見せますと約束したので。お墓にしっかり持って行って、奥さんに見せますね、絶対必ず見せますよ。

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金城眞吉監督「喜ぶはずよ、きょうも喜んでいるはず。ケガをしなくてよかったとしか言わないと思うけどね、頑張ったということを報告しておこう。頑張ってください。」

翁長選手は、1週間ほどしっかり休みをとったあと、来年3月の大会で、世界に向けて、まずは東洋太平洋のタイトルをめざし、練習を積んでいくということです。夢への挑戦が続いていきます。