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戦争の記憶を受けつぎ、継承するという課題は今私たちの大きなテーマでもあります。

沖縄の基地問題から戦争や平和について考える「お笑い米軍基地」の演出家は、そのテーマについて向き合っていました。

コント「桃太郎」

「お前たちちょっとおかしくないか」「はっ?犬?いえ、僕犬じゃなくて伊集ですよ。伊集!カメラ回さいないで。やめてください。やめてくださーーい。鬼ヶ島の海を埋め立ててV字滑走路造るのやめてください」

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演芸集団FECの、今や代名詞となった舞台「お笑い米軍基地」2005年の初演から今年、10年を迎えた。

稽古小波津さん「こっちでこっち側から強制終了させている感じ」

舞台の脚本・演出を手がけるのが小波津正光さん。

小波津さん「戦後70年の今の状況、今の沖縄。この時代を生きている僕らはそこを分岐点だと思わずに生活している」

今の時代が戦後の大きな「分岐点」だという古波津さん。それは、ことしの舞台のテーマの一つでもありました。

コント「子ども電話相談室」

「私第96代内閣総理大臣です。」「安倍さんきょうはどういったご相談ですか」「粛々と言う言葉が上から目線で偉そうだというご指摘を受けました。今後どの言葉を使えば良いのか」「じゃあね、粛々ではなくてねこれからはノリノリで」

小波津さん「ほんとうに本土への突っ込みが多くなりました。お笑い米軍基地って沖縄の人たちの共感の笑いだと僕は思うけど。それを観て笑えるということは多分現実が笑えることなんですよ」

コント「子ども電話相談室」

「さぁそれでは続いてのお友達、呼んでみましょう。もしもし、こんにちは?お名前を教えて下さい。」「ドローンです。」「ドローンさん、きょうはどんなご相談ですか?」「あの〜、ぼく〜どこで飛んだほうがいいですかね〜僕自由に空を飛び回りたいんですよ。どうすればいいですかね〜」「あんた、オスプレイになったらいいよ。オスプレイさ、うり!オスプレイになったらいいさ!」

様々な趣向を凝らし、会場を笑いに包むお笑い米軍基地は前半は「今の時代を切り抜く」コント。そして後半では「今の時代に問いかける」喜劇の二部構成。

そこで繰り広げられるドタバタの中で、戦争を体験した祖父が語る言葉は、小波津さんの伝えたい言葉でもある。

祖母「これが平和(花束落とす)これが戦争」

祖父「あんたたちは今、どこに向かってあるいているのかね。右かね。左かね。」

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小波津さん「今僕たちが立っているのどこってことでしょうね。僕たちが進んでいる方向ってどこ?戦争を体験された方たちは僕たちのことをそうみていると思います」

これまでの舞台とは違い、今回の舞台では祖父母が戦争を語るセリフはとても短い。そこには戦後70年、おじいやおばあにあえて多くを語らせていない小波津さんの思いがありました。

小波津さん「戦争のことを語ってもらうのは心苦しいじゃないですか。僕らは本当は察しないといけないのに『(戦争を)伝えなきゃいけないから、みんなの前で話して下さい』というのは僕はちょっとおこがましい感じがします。で1番の問題は(語る)おじいちゃんおばあちゃんを見ても僕らが何も感じないこと。」

舞台を観た戦争体験者の女性は「おばあが戦争の話してましたでしょ。あの時は涙が出ました。自分も体験者なので戦争の」

横浜から舞台を観た女性は「私は内地から観にきていますけれども、沖縄の人が感じているのは本当はこういうことなんだなというのが実際来てみて、こういうお笑いという形で教えてもらえるので」

黒髪おかっぱの女性「すっごいなんかスッキリしました。沖縄の人の気持ちを代弁している感じですごくよかったですはい。これがずっと繰り返されて上演されなければいけないってことが沖縄の現状がぜんぜん進んでいないという」

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笑いでより多くの人が基地問題に関心を持つことが基地問題を考える第1歩だと小波津さんは言います。初演から10年「お笑い米軍基地」の幕はいつ降りるのでしょうか。