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この番組でも何度かお伝えしましたが、家庭の経済的な理由で塾に行けない、受験勉強ができない子ども達を支援する無料塾があります。県内各地に広がった事業ですが、今この無料塾が危機に面しています。

嘉手納教室に通う小学生「私がエンカレッジにきてできるようになったことは国語の漢字や読み取り算数では苦手だった分数の掛け算割り算ができるようになりました。私はこのできるようになったことを活かして介護福祉士の夢を実現させたいです。」

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先月、県内で無料塾を運営するNPO法人エンカレッジで日頃の学習成果や将来の目標を発表する成果発表会が開かれました。

エンカレッジは7年前、生活保護世帯の子ども達の就学援助を目的に無料塾をスタート。現在は準要保護世帯を含む小学生から中学生を対象に那覇や嘉手納町などに7つの教室があります。今年2月、私たちは那覇教室で受験に向けて最後の追い込みをする中学3年生の姿を取材していました。

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那覇教室に通っていたKさん「先輩たちも今の時期頑張っていたんだなって思うから自分も早く合格して今の時期を終わりたい。」

こう話していたKさんは見事第一志望の高校に合格。さらにエンカレッジの優秀生として春休みには企業の支援による海外研修にも参加しました。

成果発表会でKさん「人をおもいやる気持ちは会社経営だけでなく世界と交流する上でも、私たち一人一人が心がけることが必要だと思いました。中学校で学んだことや経験したことは高校生になった今での私の視野を広げてくれています。」

Kさん。発表会では卒業生として後輩に力強くメッセージを送りました。

Kさん「今高校生活が充実している自分がエンカレッジに通うことができて自分を活かすことも出来たし未来につながることもたくさん学ぶことができた。」

将来の夢は「保育士になること」だと話してくれたKさん。その目の輝きは高校生活が充実していることを教えてくれました。

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【81%】これは2010年の那覇市に住む生活保護世帯の中学生の高校進学率です。那覇市全体の高校進学率は94%を超えていることからみると低い数字です。Kさんが通っていた那覇教室は3年前に開校。昨年度は41人の中学生が通い40人が高校へ進学しました。

NPO法人エンカレッジ坂晴紀代表理事「経済的な部分でいろんなことをあきらめていると思うでも勉強をあきらめちゃうとそれは夢も希望も本人も保護者も持てないんで、ここでは夢希望をもあってほしいそのための学びの場所であってほしい。」

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しかし、今この無料塾の継続が危機に直面しています。これまで、塾の運営資金は国の「緊急雇用創出事業」で100%行われてきましたが、この事業は今年度で終了。4月からは「生活困窮者支援法」の枠組みの中で実施される予定ですが補助金は全体の2分の1とされ、残りは自治体が補わなければなりません。自治体にとっては新たな負担となることから、継続が困難と判断される懸念があります。

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現在、無料塾を持つ11の自治体に確認したところ。来年度以降の継続が決まっていると回答したところはなく、継続はしたいが予算次第という回答がほとんどでした。嘉手納教室には小学生から中学生まで46人が通っています。

姉が中学3年、妹が小学5年のこちらの姉妹。4ヵ月ほど前に塾の存在を知り、通い始めたといいます。

姉妹の母親「経済的にも両親2人働いていますが学校に行かせるのがやっとという感じで塾まで手が回らない(2人には)高校まではどうしてもいってほしいなとここがなくなるとなったら先が見えない。」

学校だけでは追いつかない、しかし塾にもいけない。家庭でも勉強を見てくれる人はいない。エンカレッジは親子の希望の場所になっていました。そして、嘉手納教室にもKさんのように夢を持って頑張る中学生の姿がありました。

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嘉手納教室に通う中学3年生「(Q.エンカレッジは?)好きですね授業もあるけど自分で自主学習できるしたまにみんなで遊べるところが好きです。自分たちは今年で最後ですが、他の中学1年生や小学生もいるのでその子たちもまだ勉強したいと思うのであってほしいなと思います(Q.将来は?)看護師になることなので高校も看護学校へ行こうと思っています」

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エンカレッジ坂晴紀代表「成長しているんですよ子ども達は学力だけでなく心の面もこれをずっと続けていくことは沖縄にとっても財産だと思う是非今後もやっていきたい」

全ての子ども達に学習機会を与えたい全ての子ども達に夢を持たせたい全ての子ども達に希望を持ち続けてもらいたい

本当の意味での「支援」が今、問われています。