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9月19日金曜日のニュースQ+です。先週木曜日にも、お伝えした沖縄のお土産の現状と課題。きょうはその第2弾です。約9割の土産は菓子類。それに比べ、工芸品は3割。思わず買って帰りたくなる工芸品土産を生み出すにはどうしたらいいのか、そのヒントを探りました。

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さらに魅力のある沖縄の土産品作りを目指そうと、県文化観光スポーツ部がシンクタンク沖縄産業計画に依頼し、「沖縄土産の底上げ」を図ろうとしています。

そこで、県外で成功している企業へのヒアリング調査や視察を行っていますが、今回は、古都奈良に店舗を構える、1716年創業の「中川政七商店」。約300年続く麻問屋です。13代目、中川淳さんは衰退しつつある伝統工芸を活かしながら、若い感性で販売活路を見出すブランド展開を仕掛けています。

全国に展開する社名のついた「中川政七商店」というショップは、ファッションビルや商業施設などにあり、セレクトショップといった印象が強い店内です。

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しかし、そこに並ぶのは昔から受け継がれてきた伝統的な技術を使った商品です。厳選されたこだわりの品が揃えられ、それぞれの製作背景を紹介するカードがついています。本当に価値のある商品であることを理解して選んでもらおうという、心が映し出されています。まさに商品が生まれるまでのストーリを楽しみながら買い物が出来るのです。

中川社長「何をもっていいものとするかは非常に難しいんですが、一つの観点としてそこから会話が生まれるものがいいものだと思っていて。それは見た目がかわいいとかきれいとかではなくて、僕らものを作るときに組み立てっていうんですけどちゃんとストーリとしてしゃべれるくみたてがあるかないかで全然違うと思うんです。」

さらに土産品に特化し、「今」「ここだけ」「ストーリー」の3つのキーワードにこだわった店舗がこちら。奈良のメイン通りにある「日本市」は「お土産」の価値を底上げしようと伝統工芸から日常使いができる雑貨、食品までを取扱い、ついつい人に贈りたくなる商品が並びます。

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中川社長「日本市のものづくりは観光・土産物というのがコンセプトなんで、そこで意識しておかないといけないのが、土産物だからこんなものでいいだろうという気持ちはなくて。観光客ももちろん買ってもらえるけど地元の人が地元の土産としてどこかに持って行ってもらえることをすごく意識しているんです。」

こちらの店舗でも、商品の持つストーリはひとつひとつ紹介されています。こうした土産品のブランドづくりは積極的に若いデザイナーが担当し、店舗ではその思いを理解したスタッフが販売を行う。技術は昔から受け継がれる伝統的なものでありながら、その商品の見せ方や世界観を伝えることで、人は興味を示し、手に取ってみようという購買意欲につながるといいます。土産品としての沖縄の工芸品に、商品開発の工夫の余地がありそうです。

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女性社員「工芸品は食品に比べて高額になるので、普段自分が使ったりこれからも長く使っていきたいものになるのではないかと思う。そうなると、沖縄ぽさは好きな方にとってはいいのだが、沖縄のことは好きだが、普段の生活にそのテイストを入れたいわけではないと使いづらくなるのではと思う。」

積極的に若いデザイナーのアイデアを取り入れさまざまな世代へ魅力を発信する視点に沖縄側の担当者も刺激を受けたようです。

沖縄産業計画担当者「(Q視察を終えていかがですか)ブランドがいかにメーカーにとってあるいは小売業にとって大切かということがしみじみとわかりました。沖縄の素材はいいねというところからものづくりが始まってしまっているので、やはりそれだけでは商品にならないということでしょうね。それをいかに消費者のニーズに合わせて物語を組み立ててものを作って売っていくという。」

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独自の歴史と文化を持つ沖縄には、差別化を図れる土壌があります。お土産を手に会話の弾むストーリー作り。日本の古都には、新しい一歩を切り開くエネルギーがあふれていました。