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厚生労働省の研究班は、今月20日、パチンコや競馬などギャンブル依存の人が成人人口の4.8%、536万人に上るという推計を発表しました。

やめたくても、どうしてもやめられない。ギャンブル依存症の対策にとりくむ団体や企業を追いました。

講師「僕あったの何年前だっけ?」

仁さん「3年前です。」

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講師「3年前は、もう死にそうな顔して怒って、歯食いしばって、こぶし(握りしめて)目の前に座って、「じゃあどうすればいいんだよ」みたいなエネルギーを放って、そこにただ存在していたんですよ。」

那覇市にあるセレ二ティパークジャパン沖縄ギャンブルなどの依存症からの回復を目的に去年4月にオープンし、現在はおよそ20人が通っています。白石さん(23歳)18歳から4年間、ほぼ毎日パチンコ店に通い続けていました。当時はギャンブルに興じるお金を用意するのに必死だったと話します。白石さんは今回、これからの依存症対策のきっかけになればと取材に応じてくれました。

白石さん「嘘をついて金を貸してもらおうと思ってカッターナイフを出して顔を切っちゃうんですよ。「襲われた」って、(嘘をついて)で「金も全部取られたから、顔もすごく傷ついているし、お金を貸してくれ」って。最終的にはそんな段階まで行きましたね、自傷行為ですよね。その時はまだ病気って認識がまだなかったですよね。自分の人生にギャンブルってものが組み込まれていないと俺は生きていけないって思ってたんですよね。」

ギャンブル依存症とは、WHO(世界保健機関)が認める病気の一つで、「病的賭博」などとも呼ばれます。巨額横領事件や、強盗を起こす人の中には、ギャンブル資金を集めるために犯行に及んだという例も少なくないといいます。医者や研究者はこのような犯罪の背景に、ギャンブル依存症が隠れていると指摘します。これらは殆ど注目されることはなく、行政として抜本的な対策が進んでいないと依存症に詳しい沖縄大学の山代教授は話します。

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山代教授「ギャンブルに関しては実はものすごく深刻な問題を抱えている人が県内にもたくさんいながら、割とこう打つ手がないというか。犯罪に走ってしまったり、あるいは自殺をしてしまったり。そういった方が本当に現実にいらっしゃるという。有効なのはGA(ギャンブラーズ・アノミマス=自助グループ)とかそういったハマっちゃった人たちの、回復しようという人たちの集い行っていうのは非常に重要なのかなと実証されていますしね。」

今月下旬、白石さん達は、糸満市の海岸に、サーフィンにやってきました。施設では、回復プログラムの一環としてサーフィンを取り入れています。唯一の心の拠り所だった、ギャンブルを絶ち、みんなで新たな趣味を探そうというのです。

位田忠臣さん「施設に来て、施設の中で同じ問題を共有している仲間と一緒に何かをする。今までやったことのないサーフィンを通して自然と触れ合う自然の力で会ったり自分の力、仲間の力そういった何か新しい発見をしてもらうのが一つの狙いになっています。今まで置き去りにしてきた感情を取り戻すという作業の一つの役割になっていると思います。」

また、借金返済やギャンブル資金を集める為に、個人情報を流出した事件の報道で依存症対策の必要性を改めて確認した企業もあります。名護市にある「クオリサイトテクノロジーズ社」今年7月、東京の「ギャンブル依存症問題を考える会」と顧問契約を結び、依存症の啓発や企業におけるリスクを学ぶ研修を今回初めて開催しました。

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松村隆之さん「(社会的に)ギャンブルに対する関心が高まっている中でですねギャンブルだけではなくて依存症に対する認識っていうのは非常に薄いっていう話を聞いてですね、それで悩みを抱えている社員が多いのではないかという話があってですね、であるならば知識としていったん入れてですねあのサポートできるような体制を造っていこうということで今回企画をしました。実際にセキュリティも当社も気をつけてはいるんですけど、よく言われる話で事故の8割がヒューマンエラー、人間に依存するものなんですね、どんなに良い設備を使っても結局社員が守れなかったら全部ダダ漏れなってしまうんですよね。」

少しずつ動き出している依存症対策。依存症は、他人事ではなく、誰にでも起こりうる問題です。個人だけでなく、社会も関心を寄せ向き合う必要があります。