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午後5時。那覇市のとあるビルに集まってくる中学生。ここは、那覇市が3年前から運営する無料塾です。今、まさに高校受験に向けて最後の追い込みの真っ只中。

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照屋先生「中学1年生から3年生までで約80人。勉強したいという意欲があるけど家庭でスペースがないとか学習環境が整っていない子たちもいるのですごく大切な場所かなと。」

通っているのは生活保護を受けている家庭の中学生たち。それぞれが目標を持って学習に励む姿は他の中学生と何も変わりません。

男子中学生「(Q.塾に来てから勉強する意欲は?)めっちゃ上がりました半端ないです。自分で勉強ができないので塾にこれてよかった。」

女子中学生「自分は受験前でめっちゃ勉強しているけど先輩たちもこんなして頑張ってたんだなと思うから自分も早く合格したい。(Q.夢はなんですか?)保育士です。」

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この日、塾には1人の卒業生の姿がありました。優子さん17歳。この塾の一期生で、現在、泊高校の定時制に通っています。

優子さん「(中学校)行ってなかったね。担任とあんまりよく合わなかった。いじめとかもあっていかなかった。(Q.相談する人は?)いなかった。」

優子さんは母親と二人暮らし。母親は障害を抱えていて働けず、母一人子一人で生活保護を受けて暮らしています。そんな優子さん。中学3年になり先生や友達とうまくいかず、学校に行かなくなりました。

家に引きこもり、誰にも相談できずにいた優子さんに手を差し伸べたのが那覇市の自立支援員でした。

優子さん「(自立支援員が)家に来て、『優子の支援になりました』。家に入っていろいろ話をして『塾あるよっ』て言われて『行く―』みたいな。高校は行きたいって思っていて・・。(Q.勉強する場所が出来てどうでしたか?)嬉しかった。」

那覇市には現在、生活保護世帯の中学生がおよそ300人います。その家庭を一軒一軒訪問し、学習状況によっては無料塾に不登校の子にはフリースペースへつなげるのが自立支援員の仕事です。

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自立支援員 仲間さん「寝てるからあけてくれないとかあったんですけど、本人が高校進学したといったのでそれを応援するという、就労にしても進学にしても本人が一番やりたいことをみんなで応援していくことが支援員の仕事だと思う。」

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もう一人、複雑な思いを抱えていた優子さんを支えてくれたのが塾の先生でした。

照屋先生「いつも相談してきたんですけど、学校の話も家庭の話も聞くことはできる。でもやっぱり目標「高校」と聞いて学習支援をして。いろんな人たちがかかわってこれだけ変わったのかなとすごく思う。」

優子さん「居場所になった。」

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泊高校の予餞会にて、生徒会長の優子さんあいさつ「生徒のみなさんこんばんは。今年の予餞会はドッヂボールと輪投げとなっていますみんなで盛り上げていきましょう。」

信頼できる大人とのかかわりの中で光を見つけた優子さん。今、彼女は休まず高校に通い、さらに生徒会長として活躍しています。

優子さん「不安だったけど中学校より楽しい。卒業したら進学しようかなって思っている。」

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自分を学べる場所へ導いてくれた自立支援員、塾の先生、そして学校で支えてくれている先生たち。将来は人に教える仕事に就きたいと話してくれた優子さん。彼女は今、学ぶことで自立への道を歩み始めています。