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悲鳴をあげる土地 基地内の母親達も不安訴え

土の中から次々に姿を現す古いドラム缶。去年、ダイオキシン汚染が発覚した沖縄市のサッカー場では、83本のドラム缶が見つかっています。

基地内の学校の保護者「とてもショックを受けました。腹が立ちました。子どもたちに危険はないと言ったけれど、納得できません」

次第に深刻さがます返還軍用地の汚染。基地内に住むアメリカ人の母親たちも声をあげました。

悲鳴をあげる土地 基地内の母親達も不安訴え

QABは今回、嘉手納基地内の学校に子どもを通わせているアメリカ軍人の家族に話を聞きました。実は汚染が発覚したサッカー場は、嘉手納基地内にある2つの学校からわずか200メートル。しかし親たちは学校のすぐ近くでダイオキシン汚染が発覚していたことを半年も知らされなかったのです。

基地内の学校の保護者「クリスマスのころ、友人がドラム缶のことをどう思うか聞いてきたんです。あなたの娘の通っている学校のそばで、ドラム缶が見つかったけど知らないのかと聞かれたんです。心配で胃が痛くなりました」

悲鳴をあげる土地 基地内の母親達も不安訴え

彼女たちは、年末「子どもたちを守ろう」というフェイスブックのページ開設しました。メンバーは1カ月余りで800人以上に。保護者の中には子どもが遊び場に行くのを禁じたり、登校自体を控えさせたりしている母親もいました。

基地内の学校の保護者「(Q:なぜ子どもを連れて行かなくなったのか?)子どもたちが遊んでいた場所とドラム缶が見つかった場所が近かったので、行かせるのをやめました」「なぜ今も、子どもたちに遊び場を開放しているのか、理解できないのです」

悲鳴をあげる土地 基地内の母親達も不安訴え

彼女たちが事実を知ったのは、あるアメリカ人女性の呼びかけがきっかけでした。ベトナム退役兵の二世で枯れ葉剤やダイオキシンの被害を訴えているへザー・バウザーさん。去年沖縄を訪れ、サッカー場に足を運んだバウザーさんは子どもたちが駆けまわっていた、その足元が汚染されていたことにショックを受けていました。

バウザーさん「学校のそばで、沖縄の子どもたちも遊んでいた場所でそんなことがあったなんて、本当に頭にきます」

悲鳴をあげる土地 基地内の母親達も不安訴え

バウザーさんは英字新聞「ジャパンタイムズ」で基地内の保護者たちにメッセージを送っていました。

『あなたたちは、家族に汚染の可能性があるということを知るべきです』

こうした中、アメリカ軍は先月28日に説明会を開きました。司令官は半年もの間学校近くの汚染を保護者に伝えなかったことを弁解しました。

ヘッカー司令官「土もきれい、水もきれいと言う報告だったので、皆さんに伝えませんでした。それが間違いと言えば間違いでした」

また、こんな例え話で保護者を安心させようともしていました。

ヘッカー司令官「例えばトマト缶です。使用後、缶には少し残りますよね。それをしばらく土に埋めておいて、掘り出してから、缶の中の土を調べると、トマトがたくさん検出されます」

基地内の学校の保護者「(Q:本国で同じことが起きたらどう思いますか?)米本国だったら、米軍は私たちが求める調査にきちんと対応すると思います。人々は非常に怒り、その場所は立ち入り禁止になると思います」

悲鳴をあげる土地 基地内の母親達も不安訴え

彼女たちの勇気に、県内の女性からも問題解決に向けて協力できないかと言う声が上がっています。

沖縄市議会・諸見里宏美議員「私も1人の母親です。子どもを思う女性として、国境なんか関係ないと思う。同じ女性として、一緒に組んで何らかの行動が起こせないかと思う」

保護者の中には取材に応じないよう口止めをされた人もいます。インタビューに答えた2人も、家族が軍から圧力を受けるのではと恐れ、名前を公表したり、顔を出したりすることを拒否しましたが、それでも真実を知りたいのだと話します。

基地内の学校の保護者「(もしも活動をやめなさいと言われたらどうしますか?)いいえ、簡単にはやめません。米国民は(憲法で)自由に発言することが認められているのです。私たちが一緒に集まって発言することは法律違反ではないのです」

ではなぜアメリカ軍はもっと詳細な調査をしないのか聞いたところ、彼女たちはこんな風に答えました。

『そんなことをすると、米軍は大変なことになる。大きな面倒を抱えてしまうことになる』