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キャスター県内の事件、事故を取材する警察担当記者、通称「サツタン」が体当たりで挑む『走れ!サツタン』のコーナー。今回は大矢記者です。

大矢「はい、まずはこちらの数字を見てください。こちら、特に夏場に多発してきた、あることに関する110番通報の件数です。5年前、県内で3700件近くに上っていたものが、今年は7月末時点で、ここまで減っているんです。実は、これ、暴走族に関する110番通報なんです。この減少の背景には、こんな理由がありました。」

深夜の街を走り回る暴走族。特に夏場になると活発化し、夏祭りや、七夕、パニック暴走など特定の日には頻繁に現れ、人々の静かな夜を混乱させてきました。しかし、最近では・・

県警交通指導課・新木満「110番件数は県内では40%以上減少しております。」

沖縄市の胡屋十字路。かつて暴走族が絶えなかったこの場所も、以前よりずっと落ち着いたといいます。

最近暴走族が少なくなっていると聞いたんですけど。

自称暴走族の少年「そうですね、結構減ってます。一番(の理由は)、警察の人たちがいままで以上にいろんな手を打って来て・・・」

自称暴走族の少年「(バイク)乗っていたんですよ。それでバンバンバンバンしてて、後ろから(警察が)来て、近くて、ぶつけられないかなって、友達とかもみんな警察が怖いって言って・・・。」

少年たちが口々に「怖い」と話すのが、県警の白バイ隊。去年4月、県警は全国に先駆けて、暴走族対策に白バイを投入。取締まりを強化したこともあり、通報が減少しています。

ところが、今、これまでになかった動きが生まれているようです。

県警交通指導課・新木満「最近では、暴走行為をしている期待族が「ツイッター」とか「LINE」などを使って、白バイの取り締まり状況を連絡しあってですね、取締の目を縫って、迷惑行為をしているという状況であります。」

スマートフォンの普及に伴い、インターネットの掲示板やツイッター、特定のグループだけで情報交換ができるラインなどで、白バイの目撃情報などをやり取りしているといいます。

県警交通指導課・新木満「小集団化して、ゲリラ的に、暴走行為を敢行している状況です。110番訴えで現場にパトカーが行ってもすでに逃走しているとかですね、いたちごっこのような状況にはなっています。」

小規模、ゲリラ化した暴走族を、深夜のタクシー運転手たちもよく見かけるといいます。

タクシー運転手「洗濯物の竿とかあるでしょう、そういうのとか、工事現場の黄色い棒があるでしょう、そういうのを持っている。」「先頭は大きいバイクで、後ろに小さいバイクが14、5台くらいついてあるくね。車の間をすいすい通り抜けるのも危ないでしょう。」

確かに通報の件数は減っていても、暴走行為やそれを見ている人たちの行動が変わって、やはり依然として一般の人たちに迷惑をかけているということですね。

大矢「はい。一番の問題は、暴走行為を煽る、いわゆる期待族や「放浪族」と呼ばれる人たちの存在です。彼らは暴走を見たいがために、深夜、スクーターで県内各地を転々と移動していて、このように大型バイクの後ろをついて回り、追跡する白バイやパトカーを妨害することもあるそうです。」

県警では、暴走を煽る許しがたい行為として、少年補導とかからめながら検挙を図っていくということです。一方、県内全体で暴走行為の110番通報が減っているにも拘らず、いま急激に増えているのが石川警察署なんです。

ことし7月までに寄せられた通報は、去年の27件に比べことしは44件。その多くは恩納村からの通報です。早速現場に行ってみると、暴走族とは異なる新たな問題がありました。それがツーリング族です。

住民の人「一番迷惑です!これ以上はやってほしくない!みんなそう思っているんだよ。恩納村の人、ここの地域の人も。いろんなことを反対したけれどもなかなかなくならない。」

深夜の恩納村に響き渡る爆音。その原因とは・・・

大矢「現場は閑静な住宅街ですが、一歩入ると、こちら58号線に面しています。ごらんのような大きな急カーブを高速で走り抜けるのを楽しむバイクが後を絶たないということです。」

暴走族でも一般的なツーリングでもない。彼らは危険極まりない運転で、地元の人たちを悩ませる、通称「ツーリング族」です。

狭いカーブを時速100キロを超えるスピードで走り抜けるバイクが、去年の暮れから後を絶ちません。

石川署には騒音やスピード違反などの110番通報が相次いでいます。

比嘉課長「なかなか減らないのが現状であります。夜間の安眠も妨害されるし、観光客に対するイメージも悪くなるんじゃないかなと思います。」

現場では、悲惨な事故も発生しています。今年7月にはカーブを曲がりきれずにバイクが転倒、運転していた大学生が死亡しました。2か月前にも、同じ場所で、バイクの重傷事故が起きていました。

大矢「VTRにあった現場は、役場や学校、リゾートホテルや観光地が集中しています。この地域にはお年寄りも多く、「騒音で夜眠れない」、「怖くて道が渡れない」など、生活に支障をきたす人も多くなっています。確かに110番の通報件数は、県内全体でみると減ってはいますが、実際は迷惑行為は依然として続いているということなんです。」

暴走行為や改造バイクなどには、このような重い罰則も課せられるのですが、なによりも、事故で命を落とすドライバーがいたり、誰かの命を奪う危険があるということを十分意識して、危険な運転は絶対にやめてほしいと思います。

これまでの暴走族に加えて、新しい形の迷惑行為には、取り締まる警察も苦労が絶えませんね。

暴走は「音による暴力」以外の何物でもありません。以上「サツタン」でした。