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今月、開業10周年を迎えた沖縄都市モノレール、「ゆいレール」。この10年で、県民や観光客の移動手段としてすっかり定着しました。開業以来の大事業、浦添への延長を6年後に控えた、「ゆいレール」の将来像を探ります。

こんにちは。8月23日金曜日のニュースQ+です。開業からあっという間の10年でしたが、今日は「ゆいレール」の今後についてお伝えします。スタジオには石橋記者です。

今や那覇市のシンボルともいうべき存在、「ゆいレール」。乗客数も好調に推移しているんです。

こちらが開業からの乗客数ですが、2009年度に、リーマンショックなどの影響で一旦減少するものの、その後持ち直して2012年度は1423万人、一日当たり3万9000人と過去最高を記録しました。

まずは、就任から2年を迎えた仲吉社長に開業からの10年間を振り返っていただきました。

仲吉社長「沖縄県の観光がメイン産業にドンドンこの10年間大きく変わってきてますので、それと観光客のお客様の足にもなって、なおかつ県民にとっては再開発に伴う、周辺の住民が大きく増えてというようなことがあって、モノレールが非常に重要な公共交通機関になってきたという風に考えています」

確かに、「駅前」「駅近」という言葉が沖縄でも普通に使われるようになってきました。そして、ゆいレールが開通したこの10年間で、様々な経済効果も生まれています。沖縄都市モノレールがこのほど発表したデータですが、

ゆいレールの建設・運営・駅周辺の建築物の総額で7784億円です。事業費が1100億円でしたから、実に7倍の効果があったことになります。

次にゆいレールを利用したことによる、通勤・通学客の時間短縮効果が、1年間で78万時間。想像もつかない数字ですが、貨幣価値に換算すると8億3000万円になるそうです。

さて、ゆいレールは、浦添への延伸工事がこの秋から本格化します。首里から沖縄道の西原インターまで4.1キロ、4つの駅が新設されます。この延長を見据えて、「ゆいレール」をこれからどう育てていくのかを考えるシンポジウムが、先日開かれました。

集まったのは、およそ200人。浦添市の住民代表からは、渋滞緩和への期待と共にこんな声も聞かれました。

浦添市前田自治会長「地域の人たちが今まで歩いて買い物にも行けたのが、開通までの間、用地買収されてですね、それが落ち着くまでどれくらいかかるのかなぁということでちょっと僕らでは想像できないくらいの気持ちなんですね。夢は広がっているんですけど、不安もあります」

仲吉社長「今現在享受しているスーパーであるとかあるいは病院であるとかですね、この人たちのものはほぼ近くに移転するというようなことは県の方でも手配済みのようでしたので、そういう意味で生活そのものが大きく変わるということにはならないんじゃないかと」

デロイトトーマツコンサルティング杉本将隆マネージャー(鉄道専門家)「沖縄の鉄軌道の利用率というのが、1.4%、乗り合いバスが2.9%、合計で4.3%、分担率、つまり公共交通の利用率が極めて低い、これは沖縄にとっては致命的な課題だという風に考えています」

仲吉社長「この浦西駅(終点)までモノレールを開通させることでですね、10%位まで上げるというのもですね、計画のバックにある考え方です」

このように地元や専門家から、いろいろな意見が飛び交っていました。

そしてもう一つ気になるのが、今後の経営状況です。経営計画によると、5年後、2018年度に単年度黒字化予定。そして2025年度には債務超過も解消する予定になっていて、仲吉社長もその実現に胸を張っています。

仲吉社長「さらに多くの人たちにですね、モノレールを使っていただいて、利便性を実感していただけると、体感していただける、そういう機会を増えていけばですね、ますますモノレールの将来は大いに明るいものがあると、私は信じてますので、皆さんも期待していただきたいと思います」

様々な課題もありますが、6年後には高速道路とつながります。この機会に、高速バスも含めたバスとの連携をどう図るか、そして周辺の街づくりを行政と一体となってどう進めるのか、路線の整備と併せて、この6年間でじっくりと考えて進めてほしいですね。