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シリーズでお伝えしています「開港・新石垣空港」きょうは経済効果について。積み荷など、これまで制約の多かった現空港ですが、新空港の開港でどのように変わるのでしょうか。経済効果に期待する声、そして今後の課題など地元石垣の声を取材しました。

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マンゴー農家・島田さん「(Q:結構待ってたって感じですか?)そりゃあそうですよ。ここ30年間苦労してたんだから、30年!」

石垣でマンゴー農家を営む島田さん。島田さんが農業を始めたのはおよそ35年前。10年後に開港する新空港を夢見て、マンゴー、ビワ農家として起業しました。

島田さん「白保地先に3000メートルの新空港を作るっていう計画を出したんですよ。ところが計画通り空港はできなくて、完全に頓挫した。あてにしていたコンテナ積みができない。ずっと混載で続けてきましたから、それによる傷み、それで結局、ビワは辞めざるを得なくなった」

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これまでの石垣空港は、滑走路の長さが1500メートル。そのため現在の737型機では貨物を載せるコンテナ積みができないため、一般の手荷物と一緒に詰める混載状態。さらにオーバーランなどの危険性を避けるために積載制限もかかりました。

島田さん「貨物の積載制限が入るものですから、天気が悪くなったり、台風が近づいたりして、それから満席になったり、そうするといつも貨物制限が入って、予定通り詰めない」

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マンゴーは、出荷は7月のお中元の時期がピーク。台風や観光シーズンと重なります。台風が来ると飛行機は止まる。それは理解できたものの、通過した後も観光客を優先して載せるため、貨物は後回し。旬を迎えた果実は次々と傷んでいきました。いわゆる積み残し問題です。

島田さん「こうして結局積み上げられて、何日も待機させられる。これの痛みってものすごいたくさん出てきて、結局クレームになる」

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クレームには倍のマンゴーを送って謝罪。クレームに応じる島田さんに航空会社から、さらに厳しいメールが届きます。そこには気温が30度を超えると、1度上がるごとに荷物を272キロを降ろすとの文字が。気温上昇によるエンジン性能の低下が原因でした。

島田さん「温度が34度になったら、もう荷物は1キロも積めないという状況が起こる。それが都会のお客さんにはわからない、絶対。でも、さしあたり今まであったような被害はもうこれで避けたい」

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また花卉を栽培する喜友名さんは、後継者問題の解決に期待を寄せます。

花卉農家・喜友名さん「農家の所得がアップしない限り、後継者はついてこない。その辺が一番のネック。今回の新空港には大分期待している」

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喜友名さんが育てるのは、レッドジンジャーと呼ばれる花。南国ならではの色の鮮やかさや検疫の有利性からほぼ競争がなく、石垣島が県の拠点産地に認定されています。

喜友名さん「競争はない。沖縄本島が北限と言われています。ところが(石垣の方が適しているため)沖縄本島で作る農家さんは、そんなにいない」

しかし、景気が悪化した影響や、安定して大量に運べないことから単価が下がり、農家の数もおよそ半数の6世帯になったといいます。

喜友名さん「食べ物は先に送ってしまって、我々のこの花というのは2番,3番になってしまう、どうしても。生活必需品ではないですからね。(今後)ボンボン心配なくおくれるようになったら、割と後継者もついてくるんじゃないかという気はします」

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一方で、漁業者からは、直行便で鮮度は確保できる点は評価するものの、期待していたコンテナ輸送が可能な中型機の就航が、現在、東京とを結ぶ1便となっているため、課題は残っていると指摘します。

八重山漁協市場販売課・与那嶺課長「僕らのイメージは、本当のコンテナにマグロを丸ごと入れるイメージだったんですけど、作業は従来通り、箱に梱包して、それをカーゴのコンテナに乗せるということになっている」

コンテナ輸送ができる中型機の就航が可能となった新空港。その中型機の更なる就航に、さらにもう一歩進んだ期待が寄せられています。

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石垣市の試算では、新空港の開港前の経済効果は、空港の建設工事や間接効果もを含めて651億円。石垣市では、さらに中型機の就航にもつながると観光客数の増加にも期待を寄せます。

石垣市企画部・吉村部長「今年度の観光目標につきまして、80万人を目標としています。それは3月7日の開港に合わせて」

これは市が試算した観光客の見込み数字です。現在の73万を標準として、新空港の開港で10%アップを見込み、8年後には100万人超えを目指しています。

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吉村部長「去年からずっと海外、特に台湾、韓国あたりと、市長トップセールスを行っていて、その誘客に努めているところです」

石垣市では、平成22年度に観光基本計画を策定。47項目の事業をすすめていて、ゴルフ場の誘致、星空観察のナイトツアーの他、島では初めてとなる水族館を建設するなど、観光客のニーズに答えていきたいとしています。

積み残しなど、開港で解決される問題がある一方、コンテナ輸送が可能な中型機の増便などにつなげるため、観光客をいかに誘致していくのか。島を挙げた取り組みは始まっています。