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金武町並里区 与那城直也区長「これが基地との境目です。」

この海岸の先にあるアメリカ軍の着陸帯スワン。こちらではオスプレイが目の前で離着陸する様子が撮影されています。

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オスプレイの配備を前に、アメリカ軍が公表した環境レビューによると、これまでのCH46輸送ヘリがここを使用するのは年間14回程度。それがオスプレイだと90倍の1260回にもなるというのです。

金武町並里区 与那城直也区長「うるさいですよね。一番心配なのは夜あるものだから。ヘリモードで飛んでいるのか、固定翼モードで飛んでいるのかわからないものだから、ちょっと心配で。」

実はスワンは、集落の近くにある3つの着陸帯を一つに統合することを条件に、2009年に新たに造られました。防衛局は、移設することで集落から離れ、粉じんや騒音被害が軽減すると住民たちに説明していたのです。

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ところがその後も別の場所で訓練が繰り返されていることが判明。しかもオスプレイが配備されて訓練もひどくなり、ブルービーチ訓練場の3分の1にあたる14万平方メートルの地主・金武町並里区は今年ある決断をしました。

それは今後、この土地をアメリカ軍には貸さないというもの。年間2500万円の土地代を引き換えにした苦渋の決断でした

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金武町並里区 与那城直也区長「約束は一カ所でやるというのが、防衛局の説明ですので。区民に対して説明ですから、これが何カ所でもやっているので、おかしいということで、反対材料になったと思います。」

並里区の決断の背景にはもう一つ理由がありました。

金武町並里区 与那城直也区長「朝6時半ごろ、酔っぱらった米兵が子どもたちを追いかけまわして、民家に逃げ込んだけど、底まで酔って土足で侵入した事件です。」

この辺りでは子どもたちがラジオ体操をしていたところに酔ったアメリカ兵が乱入するという事件が起きていたのです。それは今年11月に読谷村で起きた事件と非常に似ていました。

金武町並里区 与那城直也区長「区民の方が何名か来て、抑えたような話は聞いています。こういう事件は結構あるものだから、なるべく基地は無い方が良いんじゃないかということなんですよね。」

一方、そんな金武町では、アメリカ軍基地を巡り別の問題が起きています。

金武町社交飲食業組合 山川宗仁組合長「本来なら道にもお店にもお客さんはいっぱいしているんですが、きょうはペイデーなのに、禁止令出されてから、町に出て来て飲む機会が極端に減っているので。」

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キャンプハンセンのゲート前にある新開地地区。

金武町社交飲食業組合 山川宗仁組合長「きのう数えた段階で8店舗ほど見ました。1店舗は廃業しています。」

 相次ぐ事件を受け、アメリカ軍が出した基地の外での飲酒禁止措置が皮肉にも飲食店の経営を圧迫しているのです。

バー「ZONE」マネージャー ロジャーファイヤックさん「(Q.どんな、きょうは?)ゼロです。外も歩いていないね。ゼロです。はっきり言ってゼロです。家賃と電気代払えば赤字です。徐々に諦めがちになっている。そろそろ閉めようかなと。」

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バー「ROCK AMERICA」オーナー 山川梨香さん「経営できませんよね。うちはお酒しかやっていないので、食べ物は無いので。今の状態で待っていれば生活もギリギリ。収入もない状態で生活しているので、ちょっとした貯金を崩しているので、長く続けられないです。」

こうした中、飲食店の経営者たちで作る組合は金武町に対して飲酒禁止措置を解除するよう働きかけてほしいと申し入れをしました。しかし儀武町長も状況が状況だけに、頭を抱えています。

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金武町 儀武町長「国同士で決定した事項もありますので、町が何ができるかというところを考えないといけない。」

金武町社交飲食業組合 山川宗仁組合長「金武町は1万1000人の人口ですが、社交街は86店舗の飲食店がある。これを3カ月また禁酒令を出されますと、町が、新開地地区の町が死んでしまいます。」

金武町であがっているオスプレイの訓練に苦しむ声と飲食店業者の悲鳴。一見対照的にも見える問題ですが、それはアメリカ軍基地を抱えている町の苦悩を象徴しています。

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