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山口県の岩国基地で試験飛行を続けているオスプレイの沖縄への配備がこの週末にも予定されています。10万人が参加したあの県民大会から、わずか3週間足らず。多くの県民の意思を無視して配備する根拠となったのは、お粗末な合意文書でした。

先週金曜日、アメリカ軍はオスプレイの試験飛行を開始した。その性能を見せつけるかのように、ヘリコプターモードでの垂直離着陸や飛行機モードでの高速飛行を繰り返している。

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佐喜真宜野湾市長「正直申し上げて非常に残念であるし、なんか悲しい気持ちもありますし、また一方で怒りさえ覚えている」

初飛行の2日前、先週19日に日米両政府はオスプレイの安全運航に関する合意文書に署名した。

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市民「アメリカの方でも、墜落してそれを心配して反対している方もいっぱいいるじゃないですか」「冗談じゃないよ。何が安全。目の前に危険が迫っているのに安全と言えないじゃない」「やっぱり安全と言っても、政府側の意見だと思う。住民は絶対安全ではないと皆さんわかっているので、絶対いけないことだと思います」

日本政府はこの合意をもって安全宣言とし、オスプレイの国内での飛行を認め、そして普天間基地への配備にゴーサインを出したのだ。

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森本防衛大臣「これによって飛行の安全性が担保され、国民の方々の生活に最大限の配慮が行われ、オスプレイの運用が行われると我々は考えている」

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玄葉外務大臣「日米合同委員会の合意については、過去に特定の装備について合意を作成したことはない。率直に申し上げて非常に難しい交渉だった」」

その難しい交渉の末にまとまったという今回の合意。両大臣は、アメリカ軍が個別の装備の運用で初めて結んだ合意だと胸を張るが、沖縄から見ればその中身はあまりにもさみしい内容だ。

「できる限り」病院や学校、人口密集地を避けるが、普天間基地の場周経路はこれまで通り。
夜間訓練飛行は「必要最小限」にする。しかし環境レビューでは3.7倍、280回に増加することになっている。
低空飛行訓練は500フィート以上で行うが「下回る飛行をせざるを得ないこともある」。
転換モードでの飛行は飛行時間を「できる限り」限定する。

アメリカ側の裁量に任された、曖昧な言葉が並んでいる。

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稲嶺名護市長「これまでもこのような内容のものが守られたというためしがないわけですから、それを両方がサインして安全が確認できましたなんて言っても、ああそうですかというわけにはいかないですね」

当然、知事も黙ってはいない。

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仲井真知事会見「お国はすぐ天下国家といいますか、アジア太平洋地域の安全保障関係の話ばっかりおやりになりますが、それはそれで、私どもも当然理解できる面があります。だからと言って、同盟国の基地の機材が頭から降ってくる可能性が強いと言うのは、またこれある意味別の話」

週末の森本大臣の沖縄訪問を断った仲井真知事は、週明け、自ら東京に向かい、合意文書に注文を付けた。

仲井真知事「何とかこれは思いとどまってもらいた。軍の運用上の何かが許せばという、全部、前提条件付でしょ。基地の横に住む人たちからすると、なかなか守られていないのが実感です」

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森本大臣「署名をして約束をするということですから、これは軍人というのはそうですけど、約束というのはきちんと守らないと軍人とは言えませんから。私の閣僚としての力量がこれくらいのことしかなかった」

知事の事実上最後の抵抗にも、大臣は聞く耳を持たなかった。

予定される配備まであと数日。当初は「沖縄を説得する自信はない」、そして今回は「私の力量はこれくらい」と開き直った防衛大臣の下で作られた日米合意。

大臣はすぐに変わるが、いつかそのツケを払わされるのは、またしても沖縄県民なのだ。

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