※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

ソウル市内の中心部を流れるハンガンです。2000年、この川に大量の毒物が廃棄される事件が起きました。

News Photo

2000年2月、ソウル市内にある龍山基地の死体安置所の流し台から死体保存用に使われていた毒劇物のホルマリンが大量に捨てられていることがわかりました。ホルマリンは排水溝を通じてソウル市民の飲み水になっているハンガンに流出。その量はおよそ8000人の致死量に相当するということで、韓国では大問題になりました。

News Photo

グリーンコリア(基地環境担当)キム・ヘジンさん「米軍基地で働いている韓国人がいたんです。その人が上司から死体防腐剤のホルマリンをシンクに流すように命令され、拒否したんですよ。」

News Photo

拒否したこの韓国人従業員は事件を環境保護団体・グリーンコリアに通報。グリーンコリアは、毒物の廃棄を指示した死体安置所の副所長を水質環境保全法違反の罪で刑事告発しました。

しかしそこで地位協定が壁になります。アメリカ軍は公務中の犯罪はアメリカが裁判権を持っていると主張。韓国と主権を巡って対立したのです。

3年間揉めた末、韓国側がソウル地裁で正式な裁判を開くことになりました。しかし被告の副所長は一審では一度も出廷せず。二審で初めて姿を現したものの驚くべき事実を明らかにしたのです。

「我々は今でもホルマリンを流し台から捨てている」

News Photo

罪に問われている間も毒物を川に垂れ流し続けていた副所長。しかしアメリカ軍はこの騒動の間に彼を昇格させていました。

裁判では軍属である被告に環境犯罪としては初めて有罪判決が出されましたが、この事件は韓国国民の中にくすぶっていたアメリカ軍に対する反発感情を露呈させることになりました。

News Photo

このホルマリン流出事件からおよそ10年。アメリカ軍の不誠実な対応は続いています。去年、キャンプキャロルで発覚した枯れ葉剤問題。後になって、アメリカ軍が90年代には枯れ葉剤による汚染を認識していたにも関わらず住民たちに隠し続けていたことがわかったのです。

News Photo

米軍犯罪根絶運動本部 パク・キョンス事務局長「米軍当局は枯れ葉剤の証言が出る前から、定期的に基地内の環境調査をやっていました。キャンプキャロルの土壌と地下水が汚染されていることを知っていて、自分たちは外から水を持ってきて使っていました。」

また、ホルマリン事件の後、韓国とアメリカはアメリカ軍施設で環境汚染が起きた場合、両国政府が合同で調査することなどを盛り込んだ地位協定の環境条項を新設しました。しかし基地の中で調査を行うかどうかは実質アメリカの裁量にゆだねられていて、韓国政府に主導権はなかったのです。

グリーンコリア(基地環境担当)キム・ヘジンさん「環境条項があると言っても、米軍はきちんと守らないし、十分な基準があるわけでもなく、地位協定の改定が必要なのです。私たちが最終的に目的としているのは地位協定の改定です。」