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県内のIT企業などが水中で会話出来る「可視光通信技術」を研究開発しています。「可視光通信」と言っても、ちょっと聞き慣れないですが、一体どんなものなんでしょうか。実近記者が取材しました。

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今月8日に那覇市で開かれたIT見本市。県内企業が、独自に開発した最新のIT技術を展示しています。ここで紹介されたのが「水中可視光通信」です。

会場では実際にホテルのプールを使って、実演が行われました。ダイバーが、手に持つのは特殊な水中ライトと頭には小型スピーカー。

ダイバーはフルフェイス型の水中マスクの中で、普通に口を動かしてしゃべることができます。そして、ダイバーがライトを会場に向けると…

「あ、聞こえま~す」「ダイビングの楽しさも増えると思います。水中で気軽に伝えたいことを伝えられるので」

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可視光通信とは、電波と同じ、無線通信の一つ。水中では使えない電波の代わりに使うのは光。LEDが人の目には感じられない程のスピードで、高速に点滅することで、様々な信号を送るのです。

ここではダイバーの声を光の信号に変換し、プールから会場に送っているのです。

機器の開発は、座間味村の第3セクター(21ざまみ)や県内のIT企業のほか、慶応大学など、産学が連携して去年から行っているもの(経済産業省の地域イノベーション創出研究開発事業)。

(株)リセ・上間英樹取締役「ここにマイクがついています。マイクから声を、普通に喋っていただいて、それを通して、LEDのライトに音声の信号が行きますで、このLEDの光で音を伝搬していくと」

光は、こちらの受光部で受け止められスピーカーに信号が送られます。実際に座間味村の海に潜って、取材してみました。水中では鼓膜が使えないため、小型スピーカーは骨伝導式のものを使います。

水中で会話する装置としては、これまでに音波や超音波を使ったものがありますが、1対1で会話が出来ないなど、実用的ではありませんでした。

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可視光通信では、ライトと受光部が向き合っている限り、ダイバー同士が1対1で会話したり、1人が同時に複数の人に喋ることもできます。さらにグラスボートなどを使うと、こんなことも出来るようになります。

実近記者「今、水中から、可視光通信を使ってグラスボートの上に向かってリポートをしています。可視光通信を使いますと、このようなことも可能になります。例えば、水中で、水のなかの様子をダイバーが、船の上にいる人に伝えることも容易になります」

船の上にいる人と会話をすることもできます。

水深はおよそ5メートル。これまでの実験では、水中で、およそ30メートル離れた距離まで通信できます。

実近記者「多少の違和感はありますが、会話は問題なく出来ます。私の音声は、この光を通して伝わっていますので、例えばこの光をさえぎるとですね、私の声は≪全く聞こえなくなります≫」

可視光通信は、ダイビングをより安全に楽しむためのツールとしても期待されています。

ダイバーインストラクター「不安が多い方だとか、体が不自由、どこかが不自由だったりする方とダイビングする場合には、やっぱり、安心してもらえると思う。声聞けるだけでも」「聞こえないことによって、不安になる人って結構いるので、そういうのをきっと、大丈夫だよって言いながら潜れると、もっと安心できる人がいっぱい出てくると思うので」「何かとっさにしてほしかったり、するときって、普通は書いて伝えるんですけど、すぐ、安全管理のこととかもパッと言えるので」

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この水中可視光通信機器。想定価格はワンセット10万円で、来年夏の商品化を目指しています。

上間取締役「もっともっと海を身近に感じられる、そんなツールにまずはしていきたい」

可視光通信は、日本が世界に先駆けて開発した技術。その中でも水中可視光通信は沖縄発の技術です。

上間取締役「海を利用した新しい情報分野を作るというのは優位性が高いんじゃないかなと」

沖縄の自然とITの融合で生まれた新しい技術が、海の世界をもっと楽しくしてくれそうです。最近や高齢者の方でもダイビングを体験してみたいと思う方が増えているということで、声でインストラクターの方が優しく話しかけてくれるというのは、本当に心強いですね。この機器も県産品ということで、販売にも期待したいです。