2010年4月20日 18時37分

特集 島は戦場だった なごらん学徒の戦争体験

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特集は島は戦場だったです。男子学生と同じ教育を受け負傷兵の看護にあたったなごらん学徒隊。65年前の4月、北部が壊滅状態にある中彼女たちが戦場で目の当たりにしたものとは。

なごらん学徒隊、富原信子さんのノートです。

子曰く 学びて時に之を習う また説ばしからずや 人知らずして慍みず また君子ならずや

繰り返し学ぶことは素晴らしく、人を恨まないことが人格者である。という内容の孔子の論語。

大城信子さん「是非教えたいと思って授業をしたんでしょう。戦争は勝っても負けても教育は大事だから勉強して教育者になりなさいよと」

1944年12月、看護の合間に行なわれた4年生最後の授業。先生の言葉は軍国主義一色の当時にしては珍しく、学生たちを驚かせました。

それから3ヶ月、昼は壕で身を潜め、夜は負傷兵の看護に追われる日々。そして、卒業式も行なわれないまま迎えた4月-。

65年前のきょうは1945年4月20日(金)

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名護市にあった県立第三高等女学校。当時北部で唯一の女学校であったため、生徒は北部全域から集まり、寮に入って勉強に励む人もいました。

大宜味村出身の大城信子さん(旧姓・富原信子)もその一人。しかし、大城さんが4年生になると突然学園生活が一変します。

大城さん「何の前触れもなしに軍隊が学園に入ってきた」

校舎は軍の通信部隊が占拠、寄宿舎は負傷兵の収容所となると、本格的な看護教育が始まりました。

大城さんの看護ノートには時折、こんなことも記されています。

『忠節5か条』何故にしても忠節、報国の道を行なわざれば、如何ほど技芸に熟し学術に長ずるも偶人にひとしかるべし。

大城さん「看護の勉強だけじゃなくて忠節をつくしなさいと。そういう風な教育をして、あなた方覚悟しなさいと」

看護にあたる女学生にも、お国のために身を捧げなさいという軍国教育が徹底されていました。男子学生と同じ教育を受け、不眠不休で負傷兵の看護にあたった女子学徒たち。

今から15年前。県内の元学徒たちが集まりました。それぞれの学徒隊にどんな悲劇があったのか後世に伝え、二度と繰り返させないという思いから、戦後50年の節目の年に証言ビデオを作ったのです。

八重岳の道なき道を歩く元学徒たち。ここは1945年1月、戦況の悪化に伴い、三高女から野戦病院が移った場所です。当時、なごらん学徒たちは名護の学校から10人ずつ、この八重岳の野戦病院に派遣され、交代で看護実習を受けていました。

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4月、上陸を始めたアメリカ軍は16日には伊江島を占領。この時すでに北部一帯は壊滅状態にありました。およそ4500人いたといわれる日本軍の部隊はわずが一週間で500人になったといわれています。

この野戦病院になごらん学徒隊から学徒看護隊として動員された上原米子さん。わずか、10人の看護隊はおびただしい数の負傷兵の看護にあたりました。

上原米子さん「小屋に全部入らないくらい。道にも寝かしていた。上から2番目が治療室だったが、ここに行く前に命を落とした兵士がたくさんいた」

伊江島が占領された16日の夜、全滅を恐れた部隊は撤退。野戦病院も歩ける患者だけを連れて山を降りることを決めます。

上原さん「歩けない患者さんの枕元には手榴弾と乾パンを配らないといけない。患者さんはもうわかっているんですね、自分達は置き去りにされると」

上原さんたちが去ると、病室から聞こえてきたのは「海行かば」の合唱。後ろ髪を引かれる思いで野戦病院を後にしたといいます。

夢を描くはずの青春時代を国のためにささげ、地獄絵図を見続けた17歳の少女たち。そんな少女たちの心に残っていたあの言葉。

『戦争は勝っても負けても教育は大事だから、勉強して教育者になりなさいよと』

大城さんと上原さんは、戦後、恩師からの言葉を胸に教育者となりたくさんの子ども達を教えてきました。

大城さん「女学生まで国のためにつくせ。死んだら靖国に祀られる間違った教育」

そんな教育は二度とされないように。

大城さんは学校の防衛要員として大宜味村の山中で3ヶ月過ごし、上原さんは爆弾の破片で足を負傷し、日本軍に何度も自決を迫られる中、なんとか山を降りたということです。

上原さんは戦後50年経って、余り知られてこなかった北部の戦況を伝えるため、水彩画を描き始めたといいます。県内で学徒動員された女学生はおよそ500人。これから6月にかけて、多くの女子学徒たちが犠牲になっていったのです。

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