2010年3月31日 18時45分

Qリポート 嘉手納ラプコン移管後の課題

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これまで嘉手納基地の中で行われてきた航空機の管制業務がきょう午前0時に日本側に移されました。戦後65年目にして「空の主権」がようやく日本側に戻ってきた訳ですが民間機の運航には、具体的にはどんな影響があるのか?現役のパイロットに聞きました。岸本記者です。

きのう、航空機と無線連絡を取り合うヘッドセットを日本側に手渡した嘉手納基地の管制官。アメリカ軍は、戦後からこれまで65年、嘉手納基地の中にあるこのレーダー施設で沖縄本島周辺の上空を飛ぶ、軍用機と民間機に対して離着陸の指示を出していました。管理する範囲は、嘉手納と久米島を中心に半径90キロ。高さが6100メートルに及ぶ、青で示した広大な空域。今回、普天間基地と嘉手納基地の上空を除く、黄色の空域の管制権がきょう、ようやく日本側に移されたことになります。

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那覇空港事務所 和田泰久次長「日本側が一元的に管制を行うので、今までよりも制限はなくなると考えている」

今回、60億円をかけて整備された日本側の新しい管制システム。国土交通省は、今後、アメリカ軍機の飛行状況を早い段階で把握できるため、那覇空港を利用する民間機の効率的な運航や出発機の待機時間の短縮が図られるとしています。

しかしー 那覇空港事務所 和田次長「米軍機の訓練をやってますので、その部分は確保しなくてはならない部分はあります」

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日本側への移管は、「あくまでアメリカ軍の運用を妨げない」という条件付き。飛行歴17年の経験を持つパイロットは、航空管制を日本側が担当しても民間機の運航が大きく変わることは無いと予測します。

JTA 丹野善一 機長「通常の状態ではたぶん何も変わることは無くって、緊急事態になった時に、今までは日本語の通じない人と交信していましたから、日本語で言っても意思疎通は難しかったかもしれないが、今回からは日本人相手になるんで」「日本語で細かいことまで伝えることは可能になると思う」

緊急時以外、フライトに大きな変化は無いと語る丹野機長は、軍の訓練によって民間機が飛行の制約を受ける沖縄の空の特殊性を説明しました。

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JTA 丹野善一 機長「那覇空港を北向けに出発する時は、離陸してすぐに1000フィートというところで、高度300メートルで、上昇をやめて水平飛行に移らないといけないんですけど」「みなさんご存知だと思うんですけど、離陸した直後にふぅっとマイナスのG(重力)がかかるところがあるんですけどそれは、我々が1000フィーと、300メートルの高さを通っているときに、その倍の600メートルのところを嘉手納の進入が通るんですよ。」「300メートルで水平飛行しなくちゃいけないのは那覇だけですね。僕が行っている空港の中では。」

今後、嘉手納基地に離着陸する航空機が無い場合は、この高度制限は一時解除されますが、アメリカ軍の訓練が優先される状態はそのまま残ります。

JTA 丹野善一 機長「嘉手納を動かさないと無理ですね。もしくは嘉手納の滑走路の方向を変えないと無理な話なんで」

これまで、嘉手納ラプコンの故障によって民間機の欠航や遅れが度々発生していた沖縄の航空管制。「空の主権」がようやく日本側に戻った意義は大きいといえますが、アメリカ軍の訓練や、訓練空域の存在によって民間機が様々な制約を受ける状態に変わりは無く、沖縄の空には、依然として大きな問題が横たわっているといえます。

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