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普天間基地の移設に関する与党3党の検討委員会が8日夕方開かれ、社民党と国民新党がそれぞれの候補地案を提示しました。

普天間基地の移設に関する与党3党の検討委員会は8日午後5時50分から総理官邸で開かれていて、委員会をまとめる平野官房長官の他、社民党からは阿部知子政審会長、国民新党からは下地幹郎議員が参加しました。

平野官房長官は先週「候補地を決定するプロセスに早く入りたい」と述べ、委員会を打ち切る意向を示しましたが、社民党の福島党首が「議論が暗闇に入ってはいけない」と強く反発。8日に社民党と国民新党から正式に候補地の提案を受けました。

社民党は、グアムの道路や水道といったインフラ整備に日本政府が協力し、普天間の海兵隊部隊をグアムに移転することを提案。

一方、国民新党は名護市キャンプシュワブの山側に長さ1500mの滑走路をつくるシュワブ陸上案。また、外来機の訓練をなくすことを前提に普天間のヘリ23機を嘉手納基地に移し、年間の離着陸回数を半減させる嘉手納統合案も提案しました。国民新党はその実現のために嘉手納基地の戦闘機の訓練移転を今の3カ月から6カ月に増やし、2つの案ともに15年の基地の使用期限を設けたいとしています。

8日の提案を受け、平野官房長官は今後、民主党独自の案をまとめた上で与党3党の党首クラスで協議し、5月末までに移設方針を決定します。

担当の岸本記者です。

具体的な案が各党から出てきましたが、名護市議会のきょうの抗議決議を見ても明らかなように、地元への提案や交渉というのは全く進んでいませんよね。

岸本記者「鳩山総理は、自治体の説得にかなりの時間がかかるとみています。5月の最終決定に向け『今月中には政府の考えをまとめる必要がある』と発言しています」

岸本記者「改めて、こちらで今後のスケジュールを説明したいのですが、きょうは、社民党・国民新党が候補地案を提示した段階です。そして、次は民主党案ということになりますが、平野官房長官は、この民主党案を公表する考えは今のところないようです」

他の2党は公表したのに、なぜ民主党は公表しないんですか?

岸本記者「今の国会の力関係からみると民主党案=政府案と見られる可能性が非常に高い。民主党から名指しされた自治体は、5月までに烈火のごとく猛烈な抗議をして、政府は発表しにくい状態になる。平野官房長官としては、7月の参院選のことも考えると、この状況は何としても避けたいわけです」

政府としては、最終的にどこで決着しようと考えているんでしょうか。

岸本記者「これまでの取材の感触からすると、政府は出てきた案の中から『これにします』と一つの案を選び出す可能性は低いと思います。つまり、3党の案をいったんテーブルに挙げて、それを2つか3つに割った折衷案になる可能性が非常に高い。具体的には、沖縄でやっているアメリカ軍の訓練を本土の自衛隊やアメリカ軍の基地に分散移転する。これは今やっている訓練の回数を増やすだけですから、それほど難易度は高くない。そして、グアムの基地の使用頻度を上げる。もしくはその提案をアメリカ政府にしていく。こうして『段階的に』県外・国外に普天間の機能を移していく。または、県内の基地を暫定使用する。これはしばらく一時的にという意味ですが、反発を避けるためのその場しのぎの可能性が高いですから、この暫定という言葉は注意して見ないといけません」

それでは、根本的な問題の解決には何もなっていないですよね。

岸本記者「平野官房長官の話を聞いていると、政府は最終的に非常にわかりにくい、責任を回避するような案を発表する可能性が高いと思います。でも、それに誤魔化されずに、誰が負担を被るのか、誰が新たな騒音や危険性を背負うことになるのか、しっかりと見つめる必要があります。