※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
10-02-17-repo001.jpg

2003年に開業し、今年で7年を迎える沖縄都市モノレール。今、その経営が厳しい局面を迎えています。景気後退による観光客の減少なども指摘されていますが、それとともに、沖縄特有のある現象が新たな経営の脅威となっています。実近記者です。

茂田施設課長「こういう形で、どんどん進行してくるんですね。」「これも錆びてきているんで、今後的には、もうしばらく進行して来たらこれも交換しなきゃいかんと」

開業から6年半、今、こうした塩害がモノレールの経営を襲っています。茂田施設課長「当初はここまで錆びるのをおそらく想定してなかったと思うんですよ」2003年に開業した沖縄都市モノレール。開業から4年目までは、常に予測を上回る乗客数を記録。しかし、景気後退を受けた観光客の減少などで昨年度から、乗客数の増加にブレーキがかかります。

経営は、県や那覇市が出資する第3セクター。320億円の借入金の返済や減価償却費が開業以来、大きな負担となっていて累積赤字は膨らむ一方。今年の上半期で、ついに100億円を突破しました。

比嘉社長「まあ一言で言うと、非常に厳しいですね」「23年ぐらいには、単期的には黒字になる、とこう思ってたんですけど、これが少し先になりそうな感じですね」塩害は、ここ数年、経営にとって新たな脅威となっています。

10-02-17-repo002.jpg

茂田施設課長「機器をとりつけるための釣り金具ですとか、ケーブル押さえ金具だとかっていうのは、もうどんどん錆びてきますね」これは、開業から4年後に付け替えられた留め金具。大きな穴が開くなど、ぼろぼろに腐食しています。−那覇空港駅では開業から4年で、照明施設を、丸ごと交換。予想以上に早く腐食が進んだといいます。

木村技師「屋外仕様で、水が入りにくい、塩分が入りにくい、ソケットを使用していましたので、想定外の錆だったと」しかし再び、錆は進行しています。−錆びるのは鉄だけにとどまりません。

茂田施設課長「「これ塗装が完全にはげちゃって・・・」「アルミが腐食して、アルミの表面が酸化して塗装膜をおいやっちゃった感じで」「要は酸化ですよね、錆だから」−かつて、東京のモノレール会社で働いていた茂田さんは県内での錆の進行に驚きます。

茂田施設課長「通常は、鉄であっても塗装しておけば、ある程度の防錆というか、防錆対策がとれるんで、そこまで、おそらく沖縄でも大丈夫という風にではないかなと思いますね」「ちょっとここまでは、この錆のスピードっていうのはちょっと、ちょっと信じがたいというか、私もびっくりしましたね」

桁を支える支承。可動式で、温度変化による、桁のわずかな伸縮をサポートするこうしたデリケートな部品の錆も、深刻です。茂田施設課長「(軸の動きが)渋ってくると、ようするに(桁の)温度伸縮をサポートできなくなってしまい、桁本体に(過度の)力がかかってしまうというのがあるんで」

10-02-17-repo003.jpg

安全が最優先されるモノレールでは部品によっては、わずかな錆も無視できないのです。−乗客の減少に対し、近年上昇する修繕費。特に錆への対策費は、ここ数年、予想を上回るスピードで急激に増加しています。−錆以外の腐食も進んでいます。

ステンレス製の金具。突然、駅の屋根から落ちてきました。実は、アルミのケーブル架台に取り付けてありましたが、アルミと、ステンレスという、異種金属同士が電気腐食を起こしたのです。電食も、隙間に入る雨水など塩害が原因です。

茂田施設課長「これ(留め具)がステンレスなんですよ、で、これ(レール)がアルミで、ここ(接点)で、電気腐食をしてるんですね。で実際このアルミのほうが電位が高いんで、アルミからステンレスのほうに自然の電流が徐々に徐々に流れてて、その時、アルミを腐食させてるんですね。」

塩害は、車両にも及んでいます。車両の屋根にあった、空調用のファン。腐食が激しく、2年前に取り替えられました。モノレールの桁本体や、駅舎の骨格などのインフラは国の補助金で整備されたものですが、こちらも様々な場所で、錆が進行しています。

比嘉社長「オキナワ自体の持つ、一つの課題だと思いますね。これは、1社だけではとても対応できないですね」「公共の交通機関として、充実させていくには、自分たちだけの力ではとても、採算の合いにくい一面があるんです。国や、県や、市町村が応援をしていくと、いうふうな体制がお願いしたいなと思ってます」

沖縄都市モノレールでは、来年度、運賃を値上げする方針を、すでに固めています。一方で、錆の修繕費は今後、さらに増えていくとみられています。

予想を上回るスピードで進行する、施設の腐食。県民の足をどう守っていくのかいま幅広い検証が求められています。結構、お客さんは乗っているんじゃないかと経営を好調に感じていた方もいらっしゃるかと思うんですが、その実態は、結構深刻ですね。13キロにも及ぶ、膨大な屋外設備の錆の進行を正確に予測することは         やはり難しかったということで、今後、真剣に向き合っていかなくてはならない課題ですね。