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シリーズでお伝えしている名護市長選挙2010。きょうは、医療・福祉環境について、医療現場や市民から寄せられた声をお伝えします。

人口およそ6万人の名護市。高齢者の割合いが高いものの、毎月、およそ60人の命が産まれていて、人口は毎年少しずつ増えています。福祉面で最も聞かれたのは、子育て環境の充実を求める声。

母親「もう、待ちがいっぱいでぜんぜん入れない状態なので」母親「産んでから仕事を再開するのに、保育所がなかなかは入れなかったりするんで」

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母親「自分の子どもも入れないので、そういう面で待機の児童がもっとスムーズに入れるような。少子化だけど、対策はぜんぜんなってないような」

名護市で5箇所ある市立保育所は定員をオーバーしている状態。そのほかの認可保育園もあわせると、600人の待機児童がいます。現職の島袋さん、新人の稲嶺さんは、ともに認可保育所の拡充や無認可保育所の支援をうたっていて、この点で大きな違いはありません。選挙後すぐの対策が期待されます。

一方、県立北部病院の「産婦人科」の医師不足にも不安の声が寄せられました。

記者「妊婦検診はどちらでされてますか?」母親「県立の中部病院でやってますね。」「名護市にお住まいでは?」「北部病院が医師が不足なので、中部に行ってますね」

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持病の影響でお産のリスクが高いと言うこの女性。県立北部病院では現在産科救急の対応ができないため、自宅からおよそ50キロ離れた県立中部病院まで、自分で車を運転して通っていると言います。

5年前には、一時、産婦人科を閉鎖した県立北部病院。去年、医師4人で24時間の救急診療を再開した時期もありましたが、これまでに4人のうち2人が退職。産婦人科を診る医師は、現在わずか2人です。

そうしたなかでも、県立北部病院では、去年1年間で201人の命が誕生しました。帝王切開と婦人病関係の手術は、合わせて139件。医師は、日勤、当直、非番でも緊急手術の呼び出しという日々の繰り返しで、名護から出ることすら出来ない状態です。

母親「切迫早産で、(民間病院に)入院になったんですけど、そのときはやっぱり、何かあったら中部病院まで行くことになるよ、と言われたときにはもう心配でしたね。」母親「困りますよね、救急で遠いところにいったら全然救急の意味が無いし。」

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県立病院の問題は、県が解決すべきとはいえ、命に関わる問題。両候補の見解を聞きました。

島袋候補「おそらく全国的に医師不足、産婦人科医の不足ですから、ただ「いらっしゃい」ではきてはくれない、となろうかと思っています。」「県全体、国全体でもっと大きな施策を展開しないと、簡単には集まらないと思います。」

医師確保の働きかけは、これまでも行ってきたものの、全国で不足する医師の獲得には、国や県の取り組みが不可欠だと語る島袋さん。

稲嶺候補「これはかなり前から、医者不足に対する心配というのがいっぱいあるんですね。それはやっぱり名護市だけではどうしようもない部分もありますけれども、名護市としてできることはあるのではないか。」「職場環境そのものは県であったり国であったりですけれども、お医者さんを地域で支える方法はないものか」

対する稲嶺さんも、産科医が名護市に定着するよう、医師を迎えいれる体勢づくりを考えたいと話していて、「産科医療の充実」に取り組む姿勢です。

 一方こちらは、4月から供用開始予定の「北部循環器センター」。産科救急と同様に、これまで北部で対応できず中南部へ搬送してきた循環器系の患者は、今後、このセンターでの対応が可能です。センターの設立資金は、北部振興策。いわゆる基地関連収入でした。

政権交代後、この北部振興策は、「北部活性か特別振興」に名称を変え、政府は「基地と関連させない」と説明しています。島袋さんは子の予算をほかの医療事業にも積極的に活用したい考えです。

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島袋候補「今まではソフトに使えないと。北部振興策はですね。これが活性化事業(新しい振興策)では使えるというふうになっておりますので、使ってみたいと。(北部のほかの町村に)協力を呼びかけようと思っています。」

稲嶺さんも、これまでの振興策のようなヒモ付きの補助金ではなく、自治体の自由度が高い、また基地と関係しない、新しい振興策に期待しています。

稲嶺候補「環境であるとか健康であるとか、福祉、介護であるとかね、そういうことが非常に求められてくるし、産業につながる分野だと思うんです」

医療福祉環境では中南部に遅れ取っている感の否めない名護市。次の市長は市民の期待にどう応えるのでしょうか。どちらの候補も、民主党政権が継続を決めた振興策への期待は高いようですね。

北部循環器センターの設置も、北部振興策で叶えられたわけですが、鳩山政権が、これからの振興策は基地とリンクさせない方針であるというのは、その反面、振興策はいつか終わるということですよね。振興策に頼らない医療体制を考える必要がありますね。

また、県立北部病院の産婦人科医は、今年3月でまた1人辞めてしまわれるということで、現在代わりの医師と交渉中だそうです。母子の命のためにも、新たな名護市長にはどうにかして医師を迎える知恵を出して欲しいものです。