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「がんじゅうへの扉」です。障害者自立支援法が施行されて今年で3年。障害者の生活を苦しめる法律だとして、不満の声が大きかった法律が鳩山新政権発足によって法律廃止の動きが出てきました。新政権に期待する障害者の声がある一方、新たな法律、制度がどのようなものになるのかという不安の声もあります。

チーム沖縄会議視覚障害者の女性「この自立支援法をもう一度白紙に戻して頂きたいで一割負担というのも撤廃していただきたい」聴覚障害の男性「(自立支援法は)ちょっと乱暴すぎるかなと考えています」聴覚障害手話通訳「まだ(新政権の)活動が見えないので私はまだ期待しません」

鳩山新政権が発足した16日の夜、様々な障害を持つ人々の集まりが開かれていました。障害の種別を越えた団体「チーム沖縄」の定例理事会です。

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上里さん「これまでの(障害の種別ごこの)個別での動きだけではまだまだ力が足りないなと、そこでいろんな関係する人たち、とりあえずリーダー達に声をかけてこういうチーム沖縄というのを(立ち上げた)」 

チーム沖縄の代表、上里一之さん。上里さんは、今から24年前の大学時代にレスリング部の練習中に頸髄を損傷。手・足の自由が奪われました。現在46歳。障害者の権利を守るための活動を続けています。

ヘルパーさん「いきますよ〜はいせーの」(上里さんをベッドから起こす)上里さんの外出には、二人のヘルパーさんが介助してくれます

Qヘルパーさんの存在は? 上里さん「正直言ってもう家族以上にですね僕との過ごす時間が長い方もいるんですよ」(10年近く続いているヘルパーさんもいる)Qヘルパーさんの存在は? 上里さん「生活の中で不可欠な人たちですね、僕の生きていく中ではですね」

3年前に施行された障害者自立支援法。大きな問題点として指摘さているのがそれ以前の「応能負担」から「応益負担」に変わった点です。

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上里さん「僕の割り当てられている時間帯が185時間なんですね」割り当てられている時間とは、上里さんが月にお願いできるヘルパーさんなど介助の利用時間。身支度を整えるヘルパーさんだけではなく、外に出ようと思えば車を運転してくれる人が必要になります。しかも、介助する人が二人であれば、支度に2時間かかったとして、利用時間はヘルパー二人分の4時間と計算されるのです。自立支援法の応益負担に変わってからは日常の生活に制限がかけられてしまいました。

さらに利用者は、原則1割負担のため、重度の障害者で働けない上里さんも月額3000円が自己負担として徴収されています。

玉城デニー議員「結局は弱い立場の人たちにその負担を押し付けてしまうような形でしか(なかった)」

先の衆議院選挙で大勝した民主党による連立政権。長妻厚生労働大臣は、19日、障害者自立支援法の廃止を明言しました県選出、民主党の玉城デニーさんも、廃止に向け現場の声に素早く取り組むことが大切だとします。

玉城デニー議員「政権与党という責任を今回の選挙で任された以上、そのスピード感も大切だと思うんですよ。ですからそのスピードを、お願いされた付託された私達としてはもっと早くその事(支援法廃止)を進めていくためのアクションは必要だと思いますね」

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親川修さん「(障害者自立支援法は)部分的に私はすごく評価できるのはあります、ただ全体を見るとなかなかむつかしいと思いますね」

法律の廃止によって、現場の混乱を危惧する人たちもいます。沖縄市で障害児らのデイケアサービスなどをしている親川修さんは自立支援法によって就業意欲が沸いた障害者も多くいるとして、制度の見直しを要望します。

親川さん「決して後戻りしないものにして欲しいですね、今せっかく自立支援法の中で全てではないですけど、よい部分もあるんです。それによって勇気をもらって前に進めている方もいるんです。実際に。それをすべてを後ろに戻すということをしてしまうと彼らのやってきたことが今後夢を持ってきたことがなんかまた、潰されるような気がするので、良いところと悪いところ。直すべきものと、伸ばすべきものをしっかり見て判断していただきたいと思います」

玉城デニー「もし国が真っ先に何をしますかと言われた場合には、その人達が生きるための最低限の生活の最優先部分から、まずしっかりケアすべきだというふうに思いますね」

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障害者自立支援法施行から3年。国の政策が、再び新たな岐路に立っています。

上里さん「国政に選ばれた方々に是非託したいです」

民主党のマニフェストでは、現在の自立支援法の「制度の谷間」にいる人々をなくすとも謳っていて新しい法律の実現が待たれます。ただ、そこには財源をどこから作るのかといった問題や、すでに障害者の入所施設などが、現在の支援法の体系の中で組織のシステムなどを作り変えていますので、まったく新しい制度が作られた場合、介護施設の職員や、障害者の方々といった現場の混乱も予想され、政府が現場にしっかりと耳を傾けることが急がれます。以上、がんじゅうへの扉でした。