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障害者スポーツの中でも激しいスポーツとして知られパラリンピックの競技にもなっている車いすラグビー=「ウィルチェアラグビー」の沖縄での初の公式戦が先週二日間にわたって行われました。この大会で西日本リーグ3連覇がかかる沖縄の戦いとウィルチェアラグビーの魅力をお伝えします。

まるで装甲車か、戦車のように作り変えられた車いすが激しい音をたてて激突するスポーツ。それが「ウィルチェアラグビー」格闘技のような激しいタックルが認められているため、かつては「殺人ボール」とも呼ばれたカナダ生まれのスポーツ。2000年のシドニーパラリンピックからは公式種目にもなっている。先週土曜日、その「ウィルチェアラグビー」の公式戦が、初めて沖縄で開催された。

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仲里進さん「(公式戦は)なかなか沖縄でやる機会がないので、やっぱり地元で応援してくれている人たちにも見てもらえる良い機会かなと思っています」

「沖縄ハリケーンズ」の主力選手で、北京パラリンピック日本代表、仲里進さん。この大会が、公式戦沖縄初開催と、チームにとっては西日本リーグ3連覇がかかる大会だけに、気合も充分だ。

では、ここで簡単な「ウィルチェアラグビー」のルール説明を。試合は、1チーム4人の選手が出場、1ピリオド8分間の、4ピリオドで争われます。出場する選手は、障害の度合いによって、0.5点から3・5点までの7クラスに分類され、試合中コートの中の4人選手の合計点が8点を超えてはいけない。

バレーボールの大きさの公式球を使い、このボールを持って、相手陣地のゴールとなる、コーンの間に引かれた8メートルのゴールラインを越えれば得点となる。この間、ゴールを狙う、あるいは阻止すべく、チームはラグビーのように戦術的なプレーが展開されるのだ。

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水色のユニフォーム沖縄ハリケーンズが対戦したのは大阪ヒート。日本代表三坂を中心に、速さとテクニックを兼ね備えたチームだ。第1ピリオド序盤は、大阪にリードを許す展開だったが11番仲里の活躍などで徐々に追いつき、ついに終盤で逆転します。

第2ピリオドに入っても沖縄はリードを譲らない展開、試合も激しさを増していきます。ところで、この試合には大きな勝敗を分けるカギがありました。それは「暑さ」

仲里進さん「やっぱり暑いので集中力が続くか続かないかというのが(カギ)僕らはいつもこの体育館で練習しているのでその辺は有利なのでホームの利を活かして頑張れたら良いかなと」

大阪三坂選手「新陳代謝がすごい障害で汗もかけない人が沢山いるので、やはり熱が体にこもってしまうとどんどん調子が悪くなって熱中症に早くなってしまうので」

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頚椎損傷などの障害を持つ人は、汗をかくなど、新陳代謝が上手く出来ない人が多く、そのため汗によって体温を下げる体温調整が出来ません。そこで、試合会場はクーラーなどの設備が整っているのが他府県では一般的なのだ。会場となった「沖縄ハリケーンズ」の普段の練習場所となっている体育館には、冷房設備はない。

大阪三坂選手「練習試合とかではよく来ていたんですよ合宿。その時から一回使わせてもらったことがあるんですけど、有り得ないなと(7秒)練習にならんなと最初はやっぱ。」

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普段の会場とは違う場所での試合だけに大阪は、徐々にペースダウン。それでも三坂を中心に大阪も粘りを見せます。

仲里進選手「正直クーラーとか設備が整った場所のほうが良いとは思います。もちろん。健康上とかいろんなことを考えると。だけど、うちは見ての通りスタッフがいつもケアしてくれたりとか、それなりの資格だったり、勉強してくれて皆でケアしてくれているのでカバーできていると思います」

チームを支える多くのスタッフの力と、初めて開催する公式戦を見ようとやってきた人たちのためにも・・・ その思いが最後まで沖縄を後押し、試合は第2ピリオド以降も流れを渡さなかった沖縄が54対45で勝利昨日の試合にも勝って、西日本リーグ3連覇を達成しました。勝った沖縄ハリケーンズは、9月に行われる東西、日本リーグのプレーオフに進出し、12月の日本選手権出場を目指します。

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この試合で沖縄ハリケーンズの10番、全日本代表候補の當間選手が最優秀選手にも輝いています。