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Qリポートです。沖縄のお笑い団体、FECの人気お笑い劇、「お笑い米軍基地」が、ことし5年目の公演を迎えました。基地という笑えない問題を、敢えて笑いとばそうという舞台が人気を集め続けるのはなぜなんでしょうか。

「隣の山でね、アメリカーが実弾射撃してるでしょ。にーさんもこっちで、射的してったらいいんじゃないの?」「射的ね!お店の名前もレンジ4って、面白いじゃないですか。射的やりましょう!」「ありがとうねー」

5年目を迎えた「お笑い米軍基地」。基地や戦争の問題をタブー視することなく、様々な問題を切り取っては笑いに変えるこのお笑い劇が人気です。このコントは、金武町伊芸区の夏祭りという設定。

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「いくよ、よーっはい」「あーまた外れた、けっこう難しいっすね」「兄さん、当たってるよ」「当たってるさ、なんで」「外れてるでしょ?」「あげ、にーさんよ、はっし。見てごらん、にーさんが打った流れ弾が、車のナンバープレート貫通してるさ」「まじっすか!」

ネタにするのは、いたって真面目な問題。でも、笑ってしまう。そんな脚本、演出を手がける仕掛け人が、FEC出身のお笑い芸人、まーちゃんこと、小波津正光さんです。

小波津正光さん「逆にタブーって言われていることを、どんどんネタにしていきたいっていう。普通だと、漫才とかコントとでも、普通のお笑いライブだと、これはやばいからネタからはずそうっていうところから入るんですけど、お笑い米軍基地だと、これはやばいからどうやってネタにしよう、っていうとこからいくんですよ。」

2005年に「お笑い米軍基地」を初めて以降、今では世間の知名度も上がり、この日の会場、浦添市のてだこホールでは前売り券およそ300枚が完売という人気ぶりでした。

小波津正光さん「5年前ですね、第一回目やったときに、沖縄で一回、東京で一回やったら終わろうと思っていたんですけど」「これがまぁ僕もこれだけ続くとは思ってなかったんですけど」

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山城智二さん「見てておかしいよな、って思うことを避けずに取り上げることが出来るのはお笑いじゃないかなと思うんで、ほかのものでは取り上げられなくてもお笑いでは取り上げられるものっていっぱいあるはずなんで」

テレビや新聞が表現できないことも、舞台では表現できる。そんな自由な魅力が、見るものを惹きつけてきました。タブーのない脚本は、私たち県民の長年の悩みすら笑いに変えてしまいます。

<実弾射撃演習が題材のコント…困った住民は…>

「こうなったら、あの人を呼ぶしかない!せーの、助けて、オキナワンヒーロー!」・・・「正義の沖縄のヒーロー、県の偉い人、参上!」「かっこいい!県の偉い人!」「ここは私に任せてください。いったーむる、たっぴらかす!」「(効果音)県は、アメリカ軍の、実弾射撃演習に対し、強く抗議します!」「出た!県の偉い人の必殺技、『強く抗議します』〜!」

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会場は大爆笑に包まれます。ただ、いくら抗議しても、訓練は続けられ、沖縄の人たちはどうすることもできません。しまいには、抗議することにも疲れてしまいます。「お笑い米軍基地」は、こんな厳しい現実も、いつのまにか笑いに変えてしまいます。

小波津正光さん「やっぱり沖縄に米軍基地がある限りはネタはあるだろうし、」小波津さんは、5年目を迎えた「お笑い米軍基地」を今後も続けることで、沖縄の現実を考え続けたいと思っています。小波津正光さん「多分、(反対、抗議を)続けててもう難儀、ってなってるところもたくさんあるし、忘れてるところもいっぱいあると思うんだけど。でもその続けることの重要性が、すごくあるなぁと」そんな想いは、このセリフに込められました。

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「ナイチャーがどうとか、アメリカーかどうとか、関係ない。わったーうちなんちゅ、一人ひとりが出来ることをまずはやること、そして続けることが大切かもしれないね。」

観客「そこまで重く受け止めてなかったていうのが正直あったんですけど、お笑いを通して皆深刻に考えている方もいるってことで」「いろんなこと考えて、変わっていくのかなと思ってるんですけど、ぜひ続けて、がんばって欲しいと思います」

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小波津正光さん「何かやること。僕ら芸人に対してもそうだけど、何かやらないと始まらないし、そして続けていかないと、だめかなと。」「今直面しているんじゃないかな。60年以上経って、戦争から。」