2009年5月5日 18時45分

検証 動かぬ基地vol.88 「環境アセス準備書」と「意見書」


名護市辺野古に新たに「V字型の滑走路」を持つ基地を作ることになって3年。今はどの段階かというと(フリップ)環境アセスメントの手続きの方法書が出て、環境調査がおわりその結果をまとめた「準備書」の公開も終わったところ。それに対して市民は来週15日までに意見書を出すことができます。

住民との合意形成が最大の目的である「環境アセス」、その住民が意見を言えるのは方法書と今回の準備書と二回だけなんですが、肝心の準備書は分厚くて難解すぎると疑問の声が上がっています。

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先月二日から1ヵ月間公開されていた「準備書」。しかし、5400ページにわたる専門用語の羅列は、一般にはかなり難解です。それをわかりやすく説明するため、沖縄防衛局は、直接、基地建設の影響を受ける地域では「地元説明会」を開催しました。

局員「スライドは、事業計画案と各検討ケースについての加重等価継続感覚騒音レベル、W値のコンター図でございます」局員「代替施設の設置により消失するサンゴ生息域は、おおむね7ヘクタールでございますが、着工後、速やかに可能な限り施工区域外の、同様な環境条件の場所に移植し・・・」

海はどうなるのか。漁師たちも真剣に聞きますがわかりにくい言葉が飛び交います。

久志区行政委員「着陸は沖合からですね、離陸は着陸した後沖合に向けて転身しています。陸上のほかの訓練施設と行き来はできないということになりますね」

防衛局「訓練地への飛行経路自体については我々は把握しているわけではありません」

住民「その辺野古、クベ三区はですよ、ヘリポートそこに作らせたら各家庭にたくさんのお金がもらえるという風に信用しています。当てにしています、そのお金を本当に各家庭に大金が配られるのかどうかイエスかノーか。答えてください!」

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基地建設予定地として、すでに12年間、緊張を強いられてきた住民。不安と怒りがあふれだします。

住民「わずか30分間で、沖縄県の将来、子や孫たちの将来、日本の将来を、ただ30分間できますか?無理ですよ!」

しかし、質問時間の延長も認められませんでした。

住民「返事は?」局員「私の担当じゃないんで申し訳ありません」住民「逃げないで!返事してください」

比嘉さん「質問してもまともな返事ができてなかったですね、信用できないですね」住民「後一時間欲しい。心のケア。みんな環境環境いうでしょ。でも我々の精神が受ける苦しみ、それを考えてないの。」

辺野古のキャンプシュワブ。まだ環境調査の段階にもかかわらず、滑走路を造るための兵舎の移転工事は進んでいます。辺野古の漁師・宜志富さんはいまさら建設は止められないとあきらめています。

宜志富さん「100メートル沖合に、自分たちは埋めてほしくないね。自分らの仕事場が100メートル少なくなるってことだから。本当は1センチも寄せたくないっていうのが気持ちではある」「そういうのを本当は話したかったんだけど、(説明会では)反対派ばっかり・・」「どんなしたら意見聞いてくれるの?自分らの声届かんさ。遠いな。だから意見なし。」

意見書を書いた男性「書かないと、だめですから。書かないと、伝わらないと思うんですよ」

座り込みのテントでは今、意見書のコーナーを設けています。巨大な準備書のファイルもみられ、意見書用紙もひな形もあるので訪れた人も気軽に意見が書けて、すでに450通集まっています。

意見書を書いた男性「どんな飛行機が来て、何回騒音を出すのか、そういうジュゴンに対する影響なんてこれに書かれていない。」

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疑問だらけの今回の「準備書」。中でもジュゴンについては素人でもおかしいと思う点がたくさんあります。国は、沖縄に生息しているのはわずか3頭だと結論づけています。辺野古の北、嘉陽の海に一頭、そして古宇利島沖に親子とみられる2頭。その3頭が最後で、もう辺野古にも、金武湾にも、ジュゴンはいないと推定しています。

花輪さん「これが本当だったら、日本でもっとも絶滅しやすい哺乳類ということですよ。」

ジュゴンの保護活動をしているWWFの花輪さんは調査も評価方法もお粗末だと指摘します。

花輪さん「恐らく1桁だっていうのはあってるんじゃないかと思います。それが3頭かどうかに関しては、今回の防衛省の調査では不十分だとおもいます。もう少しいる可能性も否定できないと思っています」

QABでは二年前の6月、辺野古崎の沖でカップルとみられるジュゴンを撮影しています。そしてこちらが昨日、古宇利島沖で初めて撮影されたジュゴンですが大型で顔が長く、辺野古の2頭とは違う特徴を持っています。これはこの10年間にジュゴンが目撃されたり、網にかかった場所。辺野古から金武湾にかけては、最も集中しています。この地域には本当にジュゴンはいなくなったのでしょうか

海中道路に海の文化資料館では、5年前から地元の子供たちと「ジュゴン登り」をあげています。

前田一舟さん「ウルマ市の海中道路周辺はジュゴンの生息地として有名だったということも有って」「私もこの裏で見ているんですけどね、だれも信用しないですね」

海中道路の北側には今も広大な海草藻場が広がっていてジュゴンを見たという話は、最近でもよく聞くそうです。

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三上「海のなかで見たんですか?」伊波さん「そうよ。色なんか飛行機で見るような、あんな色じゃないですよ。どっちかというと像のような。」三上「銅?」伊波さん「ゾウ。」

伊波さんは数年前、モズク漁の現場でジュゴンを目撃しました。

伊波さん「最初は鮫と思ってびっくりしたんですよ。だけどあんまり動きが鈍いし、近づいて行ったら海草を食べているんですね。それではっきり、あ、ジュゴンだとわかった」

ジュゴンの保護団体は「たった1年の調査で沖縄の個体群の姿を決めないで」と勉強会を開き「意見書」をどんどん出そうと呼びかけています。「命を守る会」ではおじいおばあの意見を若い人が書きとって意見書の準備をしています。

「戦はいや。子や孫にあんな思いはさせない・この海には神様が住んでいる。」「埋めると大変なことになる。・子や孫の平和のために最後まで頑張ります。」

「5400ページを読んでから」と考えるともうかけませんから、全部読まなくても、そして1行でも2行でもいいから意見書を書いてほしいと各市民団体では呼びかけています。ご覧の学習会も有りますし、ネットで情報を得ることもできます。どれだけ素晴らしい環境を失うのか、という大事な問題がわからないまま終わってしまうよりは、一行でも意見表明してしっかり見届けていきたいですね。

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