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子どもたちの成長に欠かせない給食。1食あたり200円台の食材費で、栄養バランスがしっかり摂れる、ありがたい存在です。沖縄の学校給食は、食料確保がまだ困難だった1955年、ミルク給食から始まりました。それから半世紀以上、子どもの栄養確保に貢献してきました。ところが今、その給食が危機に立たされています・・・

沖縄県の給食費未納率「6.8% 全国ワースト1(2007年度)」

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「食べたら払うのが当たり前じゃない?」「栄養考えて作ってもらってると思うんで、助かるんで。払うべきだと思います」

街では、払うべきだという声が圧倒的ですが、全県では未納額が2億8000万円にもなっているという現実があります。その影響は決して小さくありません。

「例えば果物についても今まで2分の1カットしていたのを4分の1カットにしたり。牛肉を豚肉とか鶏肉とか、安いほうに工夫しながら栄養士さんのほうで工夫してやっております」

那覇市では、2007年度の未納率は2.9%と平均より低いものの、未納額は4200万円にも達しました。こうした事態に、那覇市は、少しでも未納を減らそうと、前代未聞の計画を立てています。

「意識啓発をしていきたい。それが、誓約書導入の主な目的であると私は捉えています」

それは、市内のすべての小中学生の保護者から「給食費を納めます」という誓約書をもらうというもの。ただ、経済的な事情で給食費を払えない世帯は、就学援助制度で市が全額援助しているため誓約書の実質的な対象は、それ以外の世帯です。実際に、那覇市では全児童の2割近い6000人もの児童・生徒が就学援助を受けていて、給食費は市が代理納付しています。

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「したがいまして、冒頭で言いました2.9%の未納の方はどういうお考えでいるかというのは推測できるかと思います」

 給食の食材費は、すべて保護者からの給食費で賄われます。那覇市の場合、ほかの財源からの補助はありません。未納は給食の質と量の低下に直結するのです。教育委員会は、誓約書で「払えるのに払わない保護者」の意識が変わることを期待しています。

「問題は払える能力があるのに払わないと。その保護者に対しての誓約書なんです」

誓約書を導入している自治体はほかにもあります。福岡市では、法的措置も辞さないことを伝えたうえで、「払えるのに払わない保護者」を個人面談し、「誓約書」を提出させます。一方、那覇市の誓約書は、保護者の意識啓発が狙いで、法的な拘束力もありません。

「もっと厳しくやるべきじゃないかとか、そういう声は出ました。こういう対応をどうするかとなったんですが、まだ法的な裏づけっていうんですか、そういうものがちょっとまだ整理されていないので、これについてはまだ検討を要すると。」

その効果に疑問もある「誓約書」。きちんと払っている保護者はどう捉えているのでしょうか。

「あえて誓約書を書かなくても、とは思うんですが、今現在こういう風に未納が多い中では、私は致し方ないかなという思いもする」「意識付けをするという意味では誓約書があってもいいんじゃないかと思うんですね」

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保護者のあいだでも意見は割れました。ここ、金城中学校では去年、PTA役員の吉田優子さんが未納問題を取材し、広報紙で取り上げました。

「払えない時は、払える方法があるよっていうことも伝えたかったのでそういうのも書いて」「未納が多くなると、子どもたちの給食がどう変わっていくかということも入れながらですね。」

未納問題は、保護者間では話しにくいことだけに、記事を読んだ保護者の反響は大きかったといいます。吉田さんは、誓約書より先にできることがあると感じています。

「(誓約書は)少し乱暴なのかなと思いますが、事前に予測できること(未納)というのは、周りに相談したり学校に相談したりというのは必要かなと思います」「親の意識、学校に対する親の意識が薄れてきてる。そこがちょっと大人である私たちの教育が叫ばれてる」

未納問題は、2005年に国が全国調査をして以降、クローズアップされるようになりました。沖縄県は、それ以降、全国平均の未納率が、1%前後なのに対し、ずっと6%以上という状態が続いています。県内に前例のない「誓約書」に、どれだけ効果があるのか。ほかの市町村も注目していることでしょう。保護者への説明を尽くして進めてほしいと思います。