※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
News Photo

おととい開幕したコンテスト形式の展覧会、沖縄アートフェスティバル。日本を代表する現代アーティスト・日比野克彦さんが企画・審査員を務めます。イベントに参加した若手作家達の奮闘ぶり、そして日比野さんの思いを取材しました。

9月19日、日比野克彦さんの姿は座間味の海の中にありました。これまでも奇抜なアイディアで次々と作品を発表してきた日比野さん、初めての沖縄でのイベントとあってユニークな挑戦です。

日比野さん「沖縄の風景、海。海の風景よりは、海の中の生命の誕生した風景を描きたい」

沖縄アートフェスティバル。応募資格は、沖縄が好きな人、沖縄で夢をかなえたい人など、書類審査を通過し全国から集まった34組。絵画やオブジェなど様々な作品を審査員と話し合いながら展示し、そのユニークさを競い合います。そして開幕初日にグランプリが決定します。

日比野さん「沖縄らしさというのは一人でいてはわからない。沖縄にいても沖縄らしさって気づかない。違う価値観の人が集まった方が、沖縄の輪郭が見えてくる」

様々な価値観の交流を通して、新たな沖縄らしさを発信する。これが沖縄アートフェスティバルの目的です。

木村衣理さん「審査員の日比野克彦さんがすごく好きだったっていうのもあるし、沖縄という地にあこがれをもっていた」

京都造形芸術大学の木村衣さんがイベント開幕6日前に浜比嘉島に訪れました。木村さんが企画したのは「駅プロジェクト」。自分が駅となって各地を周り、人々と交流することが木村さんの作品です。

木村さん「(駅は)みんな目的地はばらばらだけど、どこかに行くために、年代も生きてきた経験も全然違う人達がどこかにいきたいって気持ちをもってひとつに集まってくるもの」

駅に必要なものは切符。その切符に、目的地ではなく「将来の夢」を書いてもらいます。人生を旅に例えているのです。

パーラーのお母さん「マッチョな彼氏がほしいって書いたんじゃない?」

観光客「書いた、書いた、ほんとに書いた」

パーラーのお母さん「島の子どもが、みんな素直で明るい子でいてほしいな」

雨宿りをしながら、島のお母さんとの会話はつきません。

アートで沖縄とつながりたい。8日間続いたこの旅では、こんな木村さんの思いが行き違うこともありました。

木村さん「内地はこうで、うちらはこうだってわけられる言い方をされた時は悲しかったというか・・・」

木村さん、観光では味わえない沖縄を感じていました。

沖縄アートフェスティバルの開幕を迎えました。いよいよ賞の発表です。

日比野さん「木村衣里殿、第1回沖縄アートフェスティバル、グランプリです」

木村さんはグランプリを手にしました。

木村さん「自分はずっとダメだと、人の後ろを追いかけるばかりだったので、うれしいです。(Q:今後の夢・目標は?)人の輪でしか作れないものをやっていきたいです。夢はもっと自分を好きになることです」

県内の参加者たちもがんばりました。

日比野克彦賞・宜保朝子さんの作品「丘のふもとのメガネトンネル」。本土とは一味違った沖縄の緑の色を表現した作品です。

宜保朝子さん「(Q:県外の作家達のイメージは?)それぞれの考え方がしっかりあって、その話を聞くだけでもとてもいい刺激になりました」

宮島達男賞・島袋清成さんの作品「Art Furniture」。このソファはベットのスプリングと金網で作られています。

島袋さん「皆さんが見ても楽しいし、ほんとに感じてくれる作品をつくっていきたい」

そして、海の中でのデッサンをもとに公開制作によって完成した作品は、キャンパス代わりに公設市場のダンボールを使用。沖縄の海で取ってきた獲物を料理し、沖縄の皿にもりつけ、お客様におもてなしをするという思いがこめられています。

日比野さん「いろんな意識が価値観が混在している今の沖縄のこの土地・時代で、これから独特のものが生み出されていくと思います。アートがそういうものをつなぐ一つの糸としてやっていきたいと思っています」

沖縄という土地を、単なる観光ではなく、アートを通して体験・表現した県外のアーティストのパワーに沖縄のアーティスト達も刺激を受けていたようです。会場では、この出品者達との交流も楽しむことができます。沖縄アートフェスティバルは、今月26日までです。