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きょう閉幕した洞爺湖サミットでも大きなテーマとなったのは温室効果ガスの排出量削減についてで、地球環境問題への取り組みは世界的な課題になっています。最近では多くの企業も環境保護活動を競っていますが、きょうは先週に続いて、県内企業の取り組みをご紹介します。久田記者です。

サンサンと照りつける太陽。この強い日差しを太陽光発電に利用する取り組みが、県内でも各地で進められています。

6年前からソーラーパネルを使い太陽光発電を行っている糸満市役所。糸満市では、市の方針として、新エネルギーの公共施設での利用を推進し、二酸化炭素の削減に取り組んでいます。市の庁舎には4億5千万円をかけ、全国の自治体で最大規模の2500枚ものソーラーパネルを設置しています。

発電量は庁舎で利用する電力の10%前後。電気料金で300万円を節約しています。市の負担した2億2千万円を償却するには70年以上かかります。

糸満市総務課・山里政樹さん「メンテナンス費用や発電量から考えますと、元が取れる状態にはないという面もある」

設置して6年。台風や塩害による被害も目立ち始めました。今後予定している修理には1000万円ほど必要です。非効率にも思えますが、市は二酸化炭素削減と市民が環境問題への意識を高めるために設置を決断したと言います。

山里さん「二酸化炭素で年間120トンくらいの削減効果がある。一地方自治体としてはだいぶ貢献してるんではないか」

そして、このパネルには意外な別の省エネ効果もあります。

山里さん「電力を発電するだけではなくて、屋上のほうとサイドに影を作る。直射日光が庁舎に当たらないようにできている」

ソーラーパネルがお互いに影を作らないようにデザインされ、庁舎の壁面を覆っています。こうして室内温度を上がりにくくし、冷房の利用を抑えることで、消費電力削減に繋げているのです。

さらに、その冷房設備自体にも省エネの工夫があります。

施設管理担当・島元久則さん「タンクの周りを氷で凍らせる」

この大きなタンク内で凍らせた冷媒が庁舎の配管を循環する水を冷やすことで、冷気を庁舎内にいきわたらせ、冷房に利用しています。電気に頼る冷房は補助的に使うだけ。こうした工夫で、床面積1平方メートルあたりの電気利用量を以前の市庁舎と比べ、半分近くに減らしています。

まだ経済効率が良くない方法でも、効率の良い方法と組み合わせて、二酸化炭素削減に取り組んでいるというわけです。

一方で、民間企業では環境保護活動をイメージ戦略に取り入れ、様々な取り組みを進めている企業もあります。ここにもソーラーパネルがありました。

琉球ジャスコ社会貢献部・岸本辰仁部長「このパネル1枚あたり167ワット発電しております。こちら600枚ありますので、100.2キロワット、一般の世帯にすると22世帯分の発電をしていることになります」

流通小売大手の琉球ジャスコでは、県内2店舗で屋上にソーラーパネルを設置。店舗の消費電力の5%ほどをカバーしています。また、スーパーならではの工夫で省エネを実現しています。

久田記者「屋上では電気を作りつつ、フロアでは消費電力を抑える。そのヒントがこちらにあります」

売り場を照らす蛍光灯をおよそ半分に削減。これまで商品棚の一段一段に必ず着いていたものを、ほとんど取り外しました。その代わり、蛍光灯のフード部分に鏡状の反射板をとりつけて光を拡散させ、少ない照明で明るさを確保しているのです。

そして、すでに県民に浸透しつつあるマイバッグ運動。去年だけで295万枚のレジ袋を削減しています。この店舗では、オープン当初からレジ袋の無料配布をせず、マイバッグ運動が高い効果を上げています。

岸本部長「地域の皆様のご理解を頂きまして、(マイバッグの)持参率がなんと85%。琉球ジャスコトータルでも22%で推移しているんですけども、読谷店は8割,9割のお客様がマイバッグを持参して頂けている」

このほか、大量の買い物にも対応する個人用買い物カゴ「マイバスケット」など、小売店ならではの「消費者と一体となったエコ」のアイデアが続々と打ち出されています。

利用客「出しません、袋出しませんといわれたら、やっぱり自然に持っていかなきゃいけなくなる」「積極的に企業が取り組んでいると、関心もすごく高くなる」

安さや便利さだけでなく「環境への影響」という評価基準を消費者が持ち始めた今、企業戦略にも「環境」が欠かせないキーワードになってきています。