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新たな顔ぶれが加わった県議会は少数与党の仲井真県政と、過半数を制した野党議員がきのうときょう、代表質問で本格的な論戦を展開しました。県政の課題をめぐる知事と野党の攻防と、今後の議会運営の行方はどうなるのでしょうか。

上里直司議員(民主)「もう我慢できない、何とかしてくれという気持ちが、県政においても私たちに集まってきた」

初当選で代表質問に立つのは、那覇市区でトップ当選した上里直司議員。新しい県議会で活発な論戦が展開されています。

この日、新しい県議会議員たちが一堂に揃いました。復帰の年に生まれた3人を含め、新人は18人。平均年齢は改選前より9歳若返るフレッシュな顔ぶれです。

後期高齢者医療制度問題を追い風に、野党が大躍進した県議会。改選前の与野党の勢力は27対20と与党が優勢でした。選挙後は22対26と与野党逆転、野党が過半数を占めたのです。

正副議長も野党から。大田県政以来12年ぶりの出来事です。

仲村未央議員(社民)「県政、特にこの10年間続いてきた保守県政の検証を通じて、しっかりとこれからの振興策のあり方、そして基地問題、県民の立場で頑張っていきたいと思います」

嘉陽宗儀議員(共産)「与野党逆転ということで、今の国の自民公明の悪政から県民の暮らしを守ってほしいという、県民の大きな期待感が込められていましたので」

糸洲朝則議員(公明)「与野党を問わず、県民の選良でございますから、そこは良識ある判断、議論ということが求められておりますので」

新垣哲司議員(自民)「やはり協議を重ねることは大事じゃないかと思っております」

議長主催の懇親会では、仲井真知事と野党議員とのこんなやりとりも。

仲井真知事「野党の先生方、対応をやさしくお願いしますよ」

その野党が最大の課題として構えているのが普天間基地。10年前に稲嶺県政が誕生。その翌年の県議会では、96年に可決した普天間基地の県内移設反対決議が覆されます。

平良長政議員(99年当時)「どうして3年たってなんら変わらない状況の中で、このような県内移設を認める要請決議をするようになったか」

安次富修議員(99年当時)「今回決議が前回決議と整合性については、いささかも矛盾しないものと考えております」

『基地はどこに行っても危ないんだよ』

県議会が基地の県内移設を初めて決議。以来9年間、辺野古への基地建設に、県民世論は常に反対が多数を占めていましたが、与党多数の議会が続く中では流れがかわることはありませんでした。しかし・・・。

嘉陽宗儀議員(共産)「なぜ県外移設は難しくて、県内移設なら簡単だと考えるのか、全くわからない。普天間基地の閉鎖を遅らせている責任は知事にあると思っています」

上里直司議員(民主)「メリットのない交渉については中止、契約を破棄するという選択肢が普通はある。中止の選択肢を持っているのかどうか」

仲井真知事「稲嶺さんの時代に決まったところから。一方的にこっち(沖合いから沿岸)側に寄ってきたという、あれからスタートになっていまして。埋め立て免許をどうするか、その方では保証しませんと申し上げている」

この議会で雰囲気は一変しました。

新里米吉議員(社民)「(Q:県内移設反対決議について)各会派で十分協議をしてほしい。その上で、野党代表者会議で話し合いましょうと。野党の意思統一が大事ですから」

ただ厳しい視線が向けられているのは知事だけではありませんでした。

『辺野古新基地建設反対という決議をしてもらいたい』

議会が始まるとすぐ、辺野古への基地建設に反対する市民団体が県議会前で座り込みを実施。新基地建設に反対を表明して当選した野党議員たちに発破をかけたのです。

『新基地建設に反対というのは、皆さん、立候補するにあたって、意思表明されていますから』『野党は選挙公約をしっかり守ってもらいたい』

さらに県民が期待しているのが、選挙の争点となった後期高齢者医療制度。老人クラブなどは撤回を求め議会に要請を行っています。県議会として廃止を求める意見書をまとめきれるかどうか、注目が集まっています。

仲井真知事「与野党逆転をどう理解するか。知事は色々な意見にもう少し耳を傾けて、丁寧に理解と協力を得なさいという、叱咤と激励かと思っています」

金城記者「少数与党を背に、仲井真知事は任期残り2年4か月、苦悩の日々が続きます。ただ、県民の厳しい目が注がれているのはむしろ野党の県議。与野党逆転を選んだ県民に応えるのは、まさにこれからです」

本来、県議会は県民の将来を決める大切な議論の場ですから、白熱するくらいの活気があるのは歓迎すべき変化です。

野党に多くの票が入ったということは、これまで続いた稲嶺、仲井真保守県政に対する異議であり、変化を求める県民が増えたという事です。県民がどんな変化を求めたのかそこをきちんと読み込んで実現力のある野党になってほしい、主義主張をぶつけるだけでなくフレッシュな議員も加わった新しい野党の姿を見せて欲しいものです。