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伊吹文科大臣(当時)「今回の教科書は『集団自決』について、軍の関与がなかったとは言っていない。関与の下に行われたという記述について、必ずしもそうではない」

シリーズでお伝えしている歪む沖縄戦。あすの大会を前にして、きょうが最終回です。そこで、きょうはあすの大会の意義について記者解説を交えて考えていきます。担当の島袋記者です。実行委員会の結成からおよそ2ヶ月。実行委員会側の準備の方はもう万端ですか?

島袋記者「実行委員会ができて2ヶ月、とはいっても実際に事務局が動きだして1ヶ月の短期決戦でした。教科書の印刷が始まる秋、11月ごろまでに撤回しようと、非常に急ピッチで大会の準備を進めています。これまでの経過をまとめてあります」

8月6日 PTAなど県民大会を提案

検定意見の撤回をもとめる声が大きく上がったのは先月はじめ。沖縄の声に耳を傾けようとしない国に対して、県民の総意をぶつけようと、PTA連合会や子ども会育成連絡協議会など6団体が「県民大会開催」を求めて動き出しました。この時点では9月9日、糸満市摩文仁での開催を提案。

8月10日 県議会とともに実行委員会結成

そしてその後、全会一致で意見書を可決した県議会を中心に実行委員会が結成されました。委員長は仲里利信議長。県遺族会・婦人連合会など6つの団体が名を連ね、「教科書検定意見撤回を求める沖縄県民大会」と名称を決定。5万人以上の規模を目指すために、糸満市から宜野湾市へと会場を移し、開催日は16日で取り組みが始まりました。

9月7日 実行委員会、市町村長・議長に協力要請

その後、開催日は23日に、そして最終的に29日に決定。実行委員会はこれまで各方面への協力を要請。今月7日には各市町村長や議長をあつめ、市民への参加呼びかけを訴えました。独自に実行委員会を組織するという市町村もあり、大会に向け機運が盛り上がりはじめました。

9月10日 実行委員会、知事に参加を要請

仲井真知事「私も無論、この県民大会に参加し、私の思い・考えを述べさせていただければと思っておりますので、よろしくお願い致します」

この日、実行委員会の呼びかけに答えた仲井真知事は大会への参加を表明。県職員や関係機関に参加を呼びかけることを伝えました。知事をはじめ、多くの県民の参加を目指す大会は、これまでにない大規模なものになろうとしています。

仲井真知事も参加するという大会は、今から12年前の少女暴行事件が起きた際に、県民が抗議の意思を表した5万人規模の大会に匹敵するものです。大会の意義はどう捉えたらいいでしょう?

島袋記者「実は教科書の内容を巡っては80年代、「住民虐殺」の記述が削除されそうになった際に、沖縄県民の運動で事実上復活させたという経緯があります。大臣からは『教科書検定に国は口だしできない』との発言もありましたが、多くの民意が集まれば政治判断で動かさざるを得ない、そう考えられます。新しい渡海大臣は就任の際、この問題についてもやや柔軟な姿勢を示しています。

渡海文科大臣「先の大戦で、沖縄の方々が犠牲を払われたということについては、我々はそういった方々の犠牲の上に現代がある、重く受け止めなければいけない。大会がどういう大会になるのか、どういう意見が出てくるのか見極めて、対応についてお答えしていきたい」

私達県民にとっては、とても期待が持てる発言とも聞き取れますが、大会を見て対応となると、やはりどれくらいの県民が関心を持って集まるのか、その人数もやはり気になるところです。どれくらい集まるでしょうか?

島袋記者「実行委員会では現在までに、労働組合など1700団体に呼びかけをしていて、目標としている5万人の参加者を確保しようと必死です。沖縄戦を体験した高齢者などからは事務局に『最後の力を振り絞ってでも絶対参加します』といった電話が入るなど、関心は高いようですが、大会が成功させるためには若い世代、どれだけ20代、30代を引き込めるかが鍵となりそうです。

さて、その大会の模様ですが、QABでは大会の会場に特設スタジオを設置、さらに13台のカメラを駆使して完全生中継で、総力を挙げてお送りします。

集英社が発行しているイミダスの編集長の経験を持ち、現在フリーライターとして東京で活動している鈴木力(つとむ)さんをコメンテーターにお招きして、教科書問題の経緯を振り返りながら、大会参加者の生の声をお届けする予定です。放送は大会が始まる直前午後2時55分から。ぜひご覧ください。

では、ここで、シリ−ズ 歪む沖縄戦。沖縄国際大学教授で、沖縄戦の研究者・石原昌家教授のインタビューを交えてお送りします。

石垣市の声「やはり事実がなくなるのは良くないと思う、やっぱり載せたほうがいいというのはある」「ありのまま載せて欲しいというのが希望です」「無くしたらダメですよ。ご先祖様に申し訳ない」「あったことを、あったままに、教科書に載せて教えていくのが教育だと思います」

石原昌家教授「『集団自決』という言葉を、沖縄の人たちは強制集団死の意味で使ってるかもしれませんけど、日本本土では『集団自決』は殉国死、殉国美談として使っているわけですよ。それを全国に普及させていこうという動きが活発化しているんです」

石原昌家教授「今回の県民大会というのは日米両政府に対する怒り、軍事基地の重圧ですね。それに対する県民の、心の奥底にある怒りが、“検定撤回せよ”とカタチを変えて、怒りがそこにぶつけられているとは思ってますけど、ただ、事の本質は本当に見極めていかないといけない」