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ヤンバルクイナが発見されたのは1981年、以来ヤンバルを代表する生き物として保護が叫ばれてきました。しかし、その環境は悪化の一途をたどっています。発見から25年、絶滅への危機が迫るヤンバルクイナの今をまとめました。

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1981年、沖縄本島北部で新種の鳥が発見されたというニュースが伝えられました。世紀的な発見と報じられたその鳥には「ヤンバルクイナ」と名前がつきました。

山科鳥類研究所の研究員、尾崎清明(おざききよあき)さん。25年前、ヤンバルクイナの発見に携わった一人です。尾崎さんは発見の1年前、調査で訪れた際に初めてヤンバルクイナの姿を見ました。発見以来、尾崎さんはクイナの棲息数や生態調査で沖縄を行き来しています。森に入る度に、森の生態系が乱れ、保護されるはずのクイナが急速に減少していく様子を見てきました。

クイナにとって最大の脅威となっているマングース。ハブ駆除のために持ち込まれたマングースはクイナを襲い、その生息域はクイナの住処であるやんばるの森にまで広がりました。林道が通る森には人間が捨てた猫が野生化し、クイナを捕食、ゴミが原因で異常に増えたカラスが空からクイナを狙っています。

ほとんどが人為的な原因で、行き場のなくなったクイナが餌を求めて林道に出る度に起こる交通事故。それが絶滅へと更に拍車をかけています。今、ヤンバルクイナは1000羽をきったと言われています。

交通事故で傷ついたクイナの救護やクイナの保護を獣医師がボランティアで行っているNPO法人動物たちの病院。メンバーの一人、長嶺隆さん。長嶺さんの病院には事故の度にクイナが運ばれてきます。傷ついたクイナが再び野に返るまでここで治療を受けています。

長嶺さん「今のままだと明日がない」

ヤンバルクイナからの声無きメッセージを受け止め、長嶺さんらはクイナを育て、繁殖させる行動を始めました。今年5月、国頭村の林道に放置されていたクイナの卵の人工孵化に成功、6羽のヒナを誕生させました。ヒナは親鳥ほどまで大きくなり、現在、国頭村安田のヤンバルクイナ救急救命センターのゲージで元気に成長しています。

7月。交通事故でケガをしたクイナを野に放すことになりました。地元、国頭村の子どもたちや保護に携わるメンバーが見守るなか、クイナは元気に森に帰っていきました。ヤンバルクイナ発見から25年。急速なスピードで突きつけられている絶滅という危機を回避するための課題が多く残されています。

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ヤンバルクイナは多くの脅威に追い込まれながらかろうじて命をつないでいます。発見から25年目の今、ヤンバルクイナだけでなく、それを育むやんばるの森と人間が共存出来る方策が求められています。

QABでは来週16日土曜日午前10時30分から特別番組「いのちの森やんばる」をお送りします。ぜひご覧下さい。